福島巧者の面目躍如だ。勝負どころの4コーナー。馬場が荒れている内側を嫌って、各馬が外へ進路を取るなか、1頭だけインをスルスルと伸びてきたのがサンバレンティンだった。
直線中ほどで先頭に立つと、大外を強襲したアドマイヤモナークに1馬身4分の1差をつけて押し切った。これで福島は3戦3勝。昨秋の福島記念に次ぐ重賞2勝目を挙げた。
「終いの脚を引き出すには、3、4角でいかにムダなエネルギーを使わないか。内枠だったし、先生(佐々木晶師)にインを突くことを許可してもらった。福島は得意にしていたし、馬を信じて乗ったのが良かった」と殊勲の後藤騎手。この日の第2レースで落馬し、左下腿(もも)を挫傷。「レースが進むにしたがって痛さが増してきた」と足を引きずりながらの騎乗だったが、「馬が一生懸命走ってくれるから、自分のことはいってられない。いいレースをしてあげないとね」とプロ根性を見せた。
続けて、「落ちて、間近で馬場をよく見たから、七夕賞に向けていい研究ができた」と笑わせたのも後藤騎手らしいところ。最終レースも勝ち、12勝で夏の福島のリーディングも獲得。「重賞を勝っていい締めくくりができたし、いい開催だったね」次の新潟でも大暴れしてくれそうだ。
一方の佐々木晶師は複雑な表情。「こんなハンデありか。ヴィータローザと一緒やて。1度使って馬は良くなっていたし、福島は3戦3勝。お姉さんのオーバーザウォールも福島記念を勝っているから、相性がいいのは確か。それにしても、このハンデを見て、週初めからムカムカしていた」
サマー2000シリーズの開幕戦を制し、次は小倉記念を予定しているが、やはり気になるのはハンデ。「勝ったから今度は2kg増やされて59kgになるんとちゃう。メイショウカイドウかい!まあ、せっかく10点もらったんやし、休ませても仕方ないからね。1点でも加算して(サマー2000シリーズの)優勝圏内で頑張りたい」と気を取り直し、シリーズ制覇へ意欲をわかせていた。