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新重賞今昔物語 1999年スプリンターズS 横山典がスプリンターとしての資質を見抜いたブラックホーク

 1999年は、スプリンター群雄割拠の時代だった。完璧な強さを誇った王者タイキシャトルが前年に引退。その座を巡って、強豪がしのぎを削っていた。

 そんななか、突然現れた新星がブラックホークだった。名種牡馬ヌレイエフを父に持つどっしりした鹿毛馬は、95年のキーンランド・ジュライセール出身。ノーザンファームの吉田勝己氏と金子真人オーナーに見初められた。
 美浦の国枝厩舎から3歳の1月にデビュー、当初はマイルにこだわり続けた。その路線でも、98年のダービー卿CTを勝つなど一定の成果を収めたが、肝心のGIではワンパンチ足りず。初めて武豊を起用して必勝を期した99年のマイルCSも、3着止まりだった。
 しかしそこでブラックホークに転機が訪れる。前年春まで騎乗、その後は他馬の背中からブラックの走りを観察していた横山典騎手が国枝調教師に耳打ちしたのだ。
 「この馬はマイルより千二だよ。スプリンターじゃないかな」。調教では爆発的な走りを見せながら、大舞台で弾け切れない現状打破を模索していた陣営は、その声に乗った。17戦目にして初の電撃6F、スプリンターズSに参戦。鞍上はもちろん横山典だ。

 脚元に不安を抱え2度の長期休養を余儀なくされたブラックだが、このときばかりは容赦なく仕上げられた。それでもプラス10キロ。534キロの馬体は、はち切れんばかりに充実していた。
 99年は次世代の頂点を狙う馬がそろった。1番人気は、仏GIアベイユドロンシャン賞を制したばかりのアグネスワールド。前年のこのレースでタイキシャトルを下したマイネルラヴに、翌年の高松宮記念を勝つキングヘイロー…そのなかでブラックは2番人気に支持された。
 レースは激しく、速くなった。逃げるトキオパーフェクトをマークしたアグネスワールドに、掛かり気味のマイネルラヴが競りかける。ブラックはその争いを見る4、5番手の絶好位を取った。
 あらん限りの決め手を引き出すため、ぎりぎりまで脚をためる作戦だった横山典には願ってもない展開だ。予感は的中した。ゴール前で粘るアグネスをクビ差捉える、見事な戴冠だった。
 今や関東を代表するトレーナーになった国枝師、ディープインパクトなどで一世をふうびした金子オーナーともにこれが初のGI勝利。繁栄の礎はブラックが築いた。

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