1986年6月4日付の朝日新聞によると、韓国時間6月3日の未明、ワールドカップのテレビ中継を見ていた韓国人の男性が試合に敗れたショックで死亡する、という事件が発生した。
グループステージの韓国対アルゼンチン戦において、ソウル市内で試合を観戦していたサッカーファンの46歳の男性が大熱狂。韓国はこの当時、8大会ぶり2回目のワールドカップ出場という事情のほか、初戦ということもあり熱の入った応援をしていたが結果は1-3で韓国が敗退した。
その結果にショックを受けた男性はあまりのショックに意識を失い、病院に運ばれる途中に心臓麻痺で息を引き取ったという。なお家族によると、この男性は心臓などに持病があったわけではなく、試合に負けたことに強い衝撃を受けて倒れたという。
このニュースは韓国の新聞のほか、いくつかの日本の新聞で「W杯観戦中に男性がショック死」などと報道されている。
スポーツ観戦の途中に心臓麻痺で死亡するケースは少なくない。1964年に行われた東京オリンピックではボクシングの実況中継をテレビで観戦していた59歳の男性が、選手の頭から出血したのに驚き、意識を失い、心臓麻痺で死亡するという事件があった。
この男性は常日頃から血圧が高く、風呂に入った後にテレビの実況中継を見ていたために、心臓に負担がかかり倒れたという。
ワールドカップを見ていた男性も、ボクシング中継を見ていた男性も、それぞれ60歳に満たない。年齢はさほど高くはなかったが、体調の悪い中でのスポーツ観戦は心臓に強い負担をかけるものだ。みなさんもくれぐれもご注意されたし…。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)