これはNHKが4月から新番組として放送する予定だったニュース番組が、テレビ東京の既存のニュース番組のタイトルに酷似しており、放送前にクレームを入れたというものだ。
問題となった番組名は「NHKニュースTODAY」。平日21時から22時20分に放送する大型ニュース番組だった。このタイトルが、テレビ東京が平日夕方に放送していた帯番組「メガTONニュースTODAY」に酷似している、ということでテレ東がNHKへ抗議。問題になったのだ。
テレ東の「メガTONニュースTODAY」は1980年開始の当時からしても長寿番組で、テレ東を代表する看板番組だった。テレ東は「似たようなタイトルの番組は視聴者を混乱させる。報道機関として道義的な問題があるのではないか」とNHKに抗議した。
もちろん番組名そのものに著作権はない。NHK側も既に「NHKニュースTODAY」の準備を開始していた。NHKはテレ東の要求を受け入れることはなく「頭にNHKと付いているので違いは分かるはず」と回答。番組タイトルは「NHK・ニュースTODAY」ではなく「NHKニュース・TODAY」だと説明。あくまでも番組タイトルは「TODAY」であると説明した。
結局、NHKは番組名を変えず「NHKニュースTODAY」の放送を開始。テレ東側は内心面白くなかったというが、このトラブルから1年後の1989年にはテレ東の「メガTONニュースTODAY」の放送が終わってしまい騒動は収束。また、その翌年の1990年には「NHKニュースTODAY」が終了。わずか2年でその番組生命を絶たれた。これ以降、トラブルはテレビ業界の人間から完全に忘れ去れられている。
しかしながら、テレビ東京がNHKへ抗議したのは事実だ。このトラブルは当時、複数の新聞で紹介されている。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)