問題の場面は、ライト線にフラフラと上がったフライは、風にも流されフェアゾーンにポトリと落ちた。しかし、バットを手にしたまま走っていなかった伊藤は、慌ててファーストへ向かうも無情にもアウトの宣告を受けた。
このプレーにラミレス監督はベンチで語りかけ、そのまま交代となった。報道によると、「受け入れ難いプレー。走ることは当たり前」と説明したという。
これに対し伊藤は、その日の深夜に「全ての方に失礼なプレーをしてしまいました。本当にすみません。これが今の自分の甘さです。交代させてくれた監督に感謝します。今日のプレーに限らず甘さを無くし強い選手になります。本当にすみませんでした。また明日から頑張ります」とツイート。
ファンからは「誰だって失敗はある」、「失敗は成功の母」、「オープン戦で良かった」、「宮崎も梶谷もいっぱい失敗して一流選手になった」、「勇気あるツイート」と、否定的な意見はほとんどなく、多くの激励が送られている。ファンだけではなく、ベイスターズOBでもある森本稀哲さんも反応し、「若い選手はみんな凡ミスやる。なんならベテランでもやるんです。僕らの視点はただ一つ。それを活かすかどうか。それをできるかどうか。頑張れ」とツイート。それを伊藤もリツイートするなど、ネット上で交流が行われている。
伊藤は立正大学の4番打者、そして主将として、チームを9年振りの日本一に導いた男。思い出したくないはずの失敗を、わざわざTwitterするあたりに主将を張った男の男気を感じる。
9日の試合でも出場機会を与えられたことからも、ラミレス監督の期待の大きさからくる“愛のムチ”だったことが伺われる。チームには希少な右の内野手の大砲。失敗を糧に、大きく羽ばたいてもらいたい。
文・写真/ 萩原孝弘
記事の引用について
伊藤裕季也のTwitterより https://twitter.com/Yukiya0830
森本稀哲のTwitterより https://twitter.com/onifukkusencho