そんな祭りは、楽しいと思う人がいる反面、飲酒して気持ちが大きくなった人物などが騒ぐため、騒々しくなってしまう。通常、祭りを開催する前に近隣住民へ理解を得ておくものだが、全員が祭りを許容するわけではない。そんな住民の怒りが暴走し、大惨事に発展した。
事件が発生したのは2016年8月。東京都杉並区の商店街で、サンバカーニバルが開かれていた。サンバと言えば情熱的なダンスだけに、楽しい雰囲気に溢れていた様子。そんな状況を疎ましく見ていたのが、近くに住んでいた60代の男だ。
サンバの列が自宅周辺に差し掛かると、男は3階建の住宅から列を目掛けて火炎瓶を投げ込んだ。当然、列は火の海となり、見物客や1歳の女児を含む男女15人がやけどなどで軽傷を負う。ただし、命を落とした参加者はいなかった。不幸中の幸いである。
目撃情報から、警察が犯人と思われる男の家を訪れると、首を吊っている男が発見され、救急搬送されたが、そのまま亡くなった。部屋からは割れた火炎瓶の破片などが見つかっており、自殺した男が投げ入れたものと見られている。
男は祭りについて、「うるさいから嫌だ」などと話していることが近隣住民の話で判明。どうやら、楽しい雰囲気を許容することができず、サンバカーニバルの列に火炎瓶を投げ込むという凶行に出たようだ。
男は投げ込んだ商店街で酒屋を営んでいたものの、店を畳んでおり、近所との交流もあまりなかったという。推測だが、寂しい気持ちになっているところに、サンバのような楽しい声を聞くことが耐えきれず、火炎瓶を投げ込んだのかもしれない。もちろん、許されない行動で、犯罪である。
火炎瓶を投げ込まなくとも、祭りの時間だけ家を空けるなど、その場にいなければ時間をやり過ごすことはできたはず。火炎瓶を投げ込み自らの命を断ってしまう行為は、残念と言わざるを得ない。