「兵庫県警の調べによると、百貨店店員になりすました犯人グループが、高齢者からキャッシュカードを騙し取るというもの。今年3月以降、犯人グループからと思われる電話が神戸市内で45件確認されており、そのうち18件が家に訪問してきた犯人グループにカードを騙し取られている。被害額は、数千万円にも上るとみられています」(在阪社会部記者)
なぜ、被害者たちはいとも簡単にキャッシュカードを渡してしまうのか。その秘密は、巧妙な手口にあるようだ。
「まず『○○百貨店』などの実在する店舗や架空の関連会社を名乗る人物から『あなたのカードが不正に使用された可能性がある』『今から言う番号に電話をかけて確認して欲しい』といった電話がかかってくる。教えられた番号にかけると、銀行協会職員を名乗る人物が『内容を確認するので、取引銀行、カード番号、暗証番号を教えて欲しい』と聞かれるのです。ただ、これに応じれば犯人たちの思うツボ。キャッシュカードを切り替える必要を説かれ、担当者が引き取りに伺うとの名目でカードを巻き上げられてしまうのです」(同)
冷静に考えればおかしな話だが、キャッシュカードなどの仕組みに疎い高齢者は、この指示に従ってしまう場合が多いのだ。
「被害に遭うのは70歳以上の高齢者で、主に女性が狙い撃ちされているようです。4月にも同様の手口で伊丹市内に住む人が、10枚ものキャッシュカードを持ち去られた被害も出ています。『カードを預かる』『暗証番号を教えて欲しい』などという話はあり得ない。詐欺だと思ったほうがいいでしょう」(同)
これまでは神戸市に被害が集中していたが、最近では京都や奈良でも被害が続出しているという。これを受け、各府県警は詐欺事件として捜査を続けているが、高齢者を食い物にする詐欺は後を絶たない。