そんな勇み足記事を発火点とするかのように人件費100億円カットの情報が報じられた。社員の減収は年間平均約200万円へ−−。福島原発などの“誤報騒動”で、発行部数、広告収入の激減に陥っている朝日新聞の社員が、新たなショックに見舞われている。
最盛期は800万部以上だった発行部数も700万部を割り込み、2000億円あった広告収入も今や600億円に届くかどうかというレベル(ABC調査などから)。さらに経営を圧迫しているのが、43歳で約1300万円という、業界トップレベルの社員の給与だという。
「そこで同社は、1月から『人事・給与改革と定年延長について』と題する社員説明会を頻繁に開いている。すでに大幅な給与カットは社員の噂になっていたが、“まさかここまでとは…”のレベルだった」(関係者)
説明会で使用された10ページ近いパンフレットには、1ページ目に「給与・賞与の水準抑制で約70億円、要員の自然減による給与・賞与の減少で約30億円」とする総人件費の抑制規模が記されている。これを、'17年4月に実施し'20年度末には終えるというのだ。
「さらに『抑制の内訳の目安』として、月給が9万6000円、賞与(ボーナス)が16万8000円ずつなど、平均160万円の減収になるとしている。しかし、能力評価の方法も変わるので、年収200万円ダウンは必至と見る向きが多い」(同)
予定通りこの“給与改革”が実施されれば、社員の平均年収は1100万円台に下がると見られる。これは大手証券会社や商社に大きく水を開けられるだけでなく、同業の日本経済新聞や読売新聞を下回る可能性も大きい。
「その一方で、定年を現行の60歳から65歳に引き上げ“シニア世代に頑張ってもらう”とする方針を明らかにしていますが、これには内部から“体のいい言い訳”“人気が落ち社員に応募してくる若い人が減っているから、年寄りでカバーしようとしている”などの批判が噴出している。子供の養育費などがかさむ40代などにとっては何とも痛い減収ですからね。もっとも、世間離れした給料をもらい、ふんぞり返ってきた構造的な誤りが、今回の事態を招いたという見方もありますが」(全国紙関係者)
朝日新聞の低迷はまだ続きそうだ。