とはいえ、表向きには禁止されていても、実際は違うこともあるようです。もちろん、キャバ嬢さんたちに話を聞いてみると、「うちの店のボーイさんにはカッコイイ人がいないから、店内恋愛なんてありえない!」という人もいます。ですが中には、ボーイさんとの禁断の恋に嵌っているキャバ嬢が存在するのも事実です。
サラ(19歳)は、ややヤンキーっぽい印象のキャバ嬢でした。入店してすぐ、1歳年上のボーイさんに一目惚れし、猛アタックを始めます。尚、サラが一目惚れした1歳年上のボーイというのは、なるほど確かにイケメンで、キャバクラのスタッフというよりも、むしろホストクラブにいそうな風貌でした。そのため、他のキャバ嬢たちからの人気も高かったようです。もしかしたら、サラのほかにも彼を狙っていたキャバ嬢はいたのかもしれませんね。
サラの猛アタックは、当初はかわされてばかりのようでしたが、やがて熱意が伝わったのか、2人は交際を始めます。人気者の彼を自分のものにすることが出来たサラは上機嫌でした。彼を喜ばせようと…というか、少しでも彼と同じ空間にいたいという想いからフル出勤するようになります。営業も頑張り、サラの人気はうなぎ登りに上がっていきました。
ここまでは良しとしましょう。ところが、ここからサラは間違いを犯してしまいます。元々、女の子とは恋愛の話題が好きなものです。一般の女性に限らず、キャバ嬢とてそれは同じ。サラは、皆に人気のイケメンボーイと付き合っていることを、誰かに喋りたくてウズウズしていたのでしょうね。入店したばかりの新人キャバ嬢に、「私、彼と付き合っているんだ」と打ち明けてしまいます。新人キャバ嬢は、「えっ、あのイケメンの彼と付き合っているの? すごーい。いいなー」と、サラの期待通りの返しをしてくれました。この、「羨ましがられている感覚」に味を占めたサラは、他のキャバ嬢何人かにも、ボーイとの交際を喋ってしまいます。やがて、それは店長の耳にも入ることとなりました。
店長としては、店の「商品」であるキャバ嬢に手を出したボーイを見過ごすわけにはいかなかったのでしょう。彼は、東京郊外の他店に移動させられることになってしまいました。サラ自身も、居づらくなったようで、店を辞めることになります。こういったバタバタの中、ボーイとの交際も自然消滅してしまったそうです。口は災いの元…いや、そもそも「店内恋愛禁止」のルールは、やはり守らなければなりませんね。(キャバクラ研究家:菊池美佳子)