また、バット以上に深刻な状態なのが「肩」。今シーズンはここまで盗塁を29回企図され、阻止したのはわずか2回。11日オリックス戦で初めてアウトを奪うまで、開幕から26回連続で盗塁を許し続けた。
さらに、同戦での阻止も二塁走者の大城滉二が三盗を狙い損ねたことによるもので、嶋の送球で直接盗塁を刺したわけでは無い。つまり、純粋な「盗塁刺」といえるのはたったの1回だけだ。
盗塁阻止率「.069」は、両リーグを通じて断トツの最下位。また、NPB公式サイト上で記録が公開されている期間(2005年〜)を見ても、0割台をマークしている捕手はほとんどいない。もちろん、今後のシーズンで揺り戻しが来る可能性もなくはないが、このまま行くと、近年の球史では稀に見る数字が記録されることになる。
2006年ドラフト3位で楽天に入団した嶋は、これまでにベストナイン、ゴールデングラブ(いずれも2010年・2013年)、最優秀バッテリー賞(2011年・2013年)をそれぞれ2回ずつ受賞。また、盗塁阻止率も3割以上を3回記録するなど、看板捕手として長らくチームに貢献してきた。
また、2012年〜2017年にかけては、第8代日本プロ野球選手会長としても活動。チームだけでなく、球界のためにも身を粉にして働き続けてきた。
ただ、過去にどれだけの実績を積み重ねていようと、今結果を出せなければ立場が苦しくなるのがプロ野球の世界。打てない、刺せないという状態のままなら、いずれ山下斐紹(26歳)や石原彪(20歳)といった後輩による“政権交代”が実現することは想像に難くない。
「見せましょう、野球の底力を」という言葉で、嶋が多くの人に勇気を与えたのは2011年のこと。あれから8年が経った今、自身の底力を見せることはできるだろうか。
文 / 柴田雅人