ここ数年は毎年2試合の開催に留まっている同球場だが、過去を振り返るとバラエティに富んだエピソードが数多く誕生している。今回は今シーズン初めてとなる試合を前に、改めて過去の出来事を振り返っていこう。
1、隣接するマンションから…
球場のレフトスタンドすぐ後ろにはマンションが隣接されており、上層階からグラウンド内を一望し、観戦することが出来る。“タダ見”が出来るというのだから驚きだ。
ちなみに、かつてロッテなどが本拠地とした川崎球場も同じく隣接するアパートから観戦することが出来、パ・リーグの優勝が懸かった1988年10月19日のロッテ対近鉄戦では、満員の球場に入れなかったファンが、アパート外階段に集結していた。
2、7戦全勝の不敗神話
球団移設初年度となる1989年に、ダイエーは北九州で7試合を主催。その全てで勝利を収めたことを機に、同地は“不敗神話”を持つ相性のいい土地と呼ばれるようになった。
ただ、ソフトバンクに移行して以降の25試合は、通算「10勝14敗1分」と4つの負け越し。2011年8月31日オリックス戦から2016年5月17日日本ハム戦にかけては、引き分けを挟んで8連敗を喫するなど“逆”不敗神話状態に陥っていた。
3、ファンの熱気を呼ぶ打ち合い
両翼92m、中堅119mという球場のサイズもあり、北九州の試合は打線が活発になる傾向が強い。現に、前述した25試合の平均得点数はホーム側が「5.12点」、ビジター側が「6.28点」で、内8試合(9チーム)では2ケタ得点が記録されている。
また、現在同球場のフェンスは5.2mだが、2013年シーズンまでは3.2m。そのため、以前は打ち合いで熱くなった一部のファンが、勝ち負けに関わらずグラウンドに乱入する一幕が展開されることもしばしばだった。
以上に挙げた出来事もあってか、ファンの間では“魔境”と称されることもある北九州市民球場。本日行われる試合でも、何かが起こる可能性は高そうだ。
文 / 柴田雅人