事故の原因の多くがアクセルとブレーキの“踏み間違い”や“ドライバーの認知不足”とみられており、同様の事故が起きるたびにネット上では「もう高齢者の免許は強制的に返納させろよ」「年齢の上限を決めたらどうかな?」「70過ぎたら運転はもうよくないか?」など、免許の自主返納を求める声が殺到している。
相次ぐ高齢者による交通事故に、厳しい意見が上がるのは仕方ないとも言えるが、一方で、高齢者ばかりを“やり玉”に挙げるのは不公平だという声も広がっている。
「警察庁の統計によると、交通事故発生件数は2004年に95万2720件を記録しましたが、その後は毎年減少し、2017年は47万2069件とピーク時の半分以下になっています。また、交通事故死者数も1970年の1万6765件をピークに毎年減少し、2017年は統計をとって以来、最小の3694人です。一方、事故を起こす年代は16〜19歳が圧倒的に多く、それに続くのが20〜29歳、80歳以上は3番目となり70歳代は他の年代とほとんど差はありません。連日、ワイドショーなどで高齢者の事故が問題視されていますが、“高齢者=悪”というイメージを意図的に作っているような気がしてなりません」(交通ジャーナリスト)
ネット上では、
《確かに高齢者の方が安全運転している気がする》
《年齢でひとくくりにするからいけないんじゃないかな。むしろ認知症を気にした方がいいと思う》
《高齢ドライバーは今後も増え続ける。認知症対策を急いだ方がいいだろう》
などといった意見が上がっている。
「アクセルとブレーキの踏み間違いも指摘されていますが、実際は“ハンドル操作の不適”の方が2〜3倍も多いのです。また、ワイドショーなどでは“ブレーキ痕”の有無が必ず取り沙汰されますが、これも大きな間違いですね。ABS(アンチロック・ブレーキシステム)がほぼ、全車に搭載されている現在では、道路にブレーキ痕が残ることはほぼありません。ドライバーがあたかもブレーキを踏んでいなかったかのように誤解させる報道の仕方には違和感を覚えます。今のような報道のされ方では、高齢者の肩身がますます狭くなっていくだけで、抜本的な問題解決にはなりませんよ」(同・ジャーナリスト)
最近では事故を起こした車種の多くがプリウスだったことから、ネット上で暴走車のことを“プリウスミサイル”と呼ぶ声もある。プリウスのシフト操作が他車と異なることから、事故につながる危険性を指摘する声もあるが、もちろん因果関係が明らかになっているわけではない。
高齢者の免許返納は当事者にとってみれば死活問題にもつながるだけに、ワイドショーなどの報道をうのみにせず、十分な検討をする必要があるだろう。