このJVの契約額は公表されていないが、品川−名古屋間の総工費は5兆5000億円に上り、ルートの9割近くがトンネルになることから土木関連工事が約4兆円を占めるため、ゼネコン各社には垂涎の的だ。
JR東海の関係者によると、今回の入札は鹿島建設と大成建設のJVが最後まで争い、僅差で大成に軍配が上がったという。
「栄えあるリニア第1号だけに村田誉之社長は笑いをかみ殺すのに懸命です。他の工区でも受注に意欲満々ですし、この勢いに乗じて新国立競技場の受注も勝ち取りたいと思っているのは明らかです」(業界関係者)
大成建設は7月に一度は新国立競技場の契約を結んだものの、計画が白紙撤回になったことから消滅。あらためて9月1日から設計・施工会社の一括公募が始まっており、12月末に決定する。村田社長はすでに再入札の参加を表明し、一歩も引かない構えを見せる。関係者が苦笑する。
「最近の大成は政治的案件に深くかかわっている。沖縄の辺野古埋め立て工事では本社にデモ隊が押し掛けたが粛々と着手したし、東電の福島第一原発では大型休憩所の建設やガレキ撤去などで全面協力した。もともと東電絡みの工事は多いのですが、ここまで政府に協力すれば官邸の覚えは良くなる。新国立だって一度は契約にこぎ着いた手前、そう簡単にソデにはできないでしょう」
それかあらぬか、一部には「新国立競技場は大成で決まり」のアングラ情報さえ飛び交っている。大成OBが“ダメ押し”する。
「大成は伝統的に土木と建設の確執が激しいことで有名。土木部門がリニアで手柄を上げれば建設部門だって負けてはいられない。敢然と新国立の獲得に動くでしょう。談合をはじめ、裏では“何でもあり”がまかり通っている世界ですから」
ネットワークは政界からアングラ勢力に及ぶといわれる大成建設。今回もまた、その“強さ”を見せつけるのだろうか。