世界に名を馳せる“チーム・スミイ”の総大将をして、「歴史的牝馬になる可能性がある」とキッパリ。3歳春の時点において、すでに角居師があのシーザリオ以上のジャッジを下しているようにさえ思えるウオッカは、その期待に応えるべく驚がくの“蹄跡”を歩み続けている。
近3戦はすべて1600mを使われているが、無敗でばく進するだけでなく、そのすべてにおいて勝ちタイムは1分33秒台と3歳離れ。しかも上がり3Fを34秒2→34秒0→33秒5と、その切れ味は場数を踏むごとに鋭さを増している。
前走のチューリップ賞は“+2”のうちの1頭ダイワスカーレットと初の対決となったが、スカーレットの鞍上・安藤勝騎手が必至に手綱をしごくのに対し、ほぼ馬なりのまま直線を迎え、軽く気合を付けられただけで先頭ゴールイン。着差こそクビだが、力の差は歴然だった。
村山助手、岸本助手、酒井助手といった角居厩舎のコメンテーターたちも、口をそろえるように「強かったですねぇ」とひと言…感嘆のため息をもらすばかりで、自陣営さえもあきれるほどの強さを見せ続けている。クラシック第1弾に対する意気込みを聞こうとも「とにかく順調にいくだけです」。敵は故障や病気などの“不慮の事故”しか考えられないと断言する。
しかも、それらの不安など今のところ考える余地もなし。1週前追い切りは四位騎手が手綱を取り、5F65秒6→50秒3→37秒3→12秒3(CWコース)を計時。「本当に雰囲気がいいね」とジョッキーが頼もしそうに語るように、3頭併せの最内でディアデラノビア(古馬オープン)、アルヴィス(3歳オープン)に余力をもったまま1馬身先着した。
見守った村山助手は「引っ張り切れないくらいの感触で、絶好調といえるでしょう。先週あれだけやれたんで、直前はサッとやるだけで大丈夫。テンションも変に上がることはなく、いい感じにきていますよ」とニッコリ。順調な調整にぶりに安どの表情を浮かべるとともに、勝利への自信をのぞかせた。
「前走にしても持ったまま並びかけて、ゴール前でチョロッと抜け出す感じ。見た目以上に楽だったですからね。課題ですか?あれだけのパフォーマンスを見せてくれた舞台ですし、これといって何も…」
普通に回ってさえくれば、桜の女王戴冠は間違いなし。競馬サークル内はそんな空気が早くも漂いっている。