ピン芸人なら“R-1ぐらんぷり”、コント芸人なら“キングオブコント”、漫才師なら“THE MANZAI”が、現在、売れたい芸人が目標に定めている3大メジャーコンテスト。いずれも、ゴールデンタイムに全国で生放送されている。春の“R-1”は雨上がり決死隊、秋の“キングオブコント”はダウンタウン、冬の“THE MANZAI”はナインティナインとビートたけしが指揮を執り、ハイソサエティな感じをキープしている。
ところが今年は、異変が起こっている。視聴率はおろか、優勝者がほぼ、ブレイクしていないのだ。
第12回“R-1”は、過去最多の3,715人がエントリー。かつて一大ブームを巻き起こした“M-1グランプリ”に匹敵する挑戦者の数だが、優勝したやまもとまさみはその後、緩やかに失速。最近では、テレビで見かけなくなってしまった。
さらに視聴率は、09年のゴールデン進出後、最低となる7.2%を叩きだし。これは、まだ夕方に放映されていた06年、博多華丸が優勝した第4回大会に次ぐワースト記録だ。
いっぽう、先月の“キングオブコント”は、シソンヌが7代目キングに輝いた。世間的知名度はゼロに等しいコンビがリーグ戦を制したが、こちらも視聴率は惨敗。8.3%と、またもや2ケタ台に届かなかった。天下のダウンタウンをもってしても、裏番組(日本テレビ系『月曜から夜ふかし〜秋のご当地問題大収穫スペシャル〜』の15.0%、フジテレビ系『信長協奏曲』の15.8%)に勝てなかった。
メジャーと謳われるこの2例がコケてしまった余波は、マイナーコンテストにも悪い影響を与える。ざっと振り返っただけでも、『平成26年度 NHK新人お笑い大賞』はアイロンヘッド、『歌ネタ王決定戦2014』は手賀沼ジュン、『第5回 あなたが選ぶ!お笑いハーベスト大賞』はルシファー吉岡、『第11回 MBS漫才アワード』は吉田たちが優勝したが、どれも、ピンとこない者ばかり。
およそ1か月後には、最後の砦といえる“THE MANZAI”決勝戦が開催される。連綿と続いた負のスパイラルを、イヤーエンドに打ち止めることはできるのだろうか?(伊藤由華)