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10年目の交流戦『特別企画』に隠された企業賞金の行方

 プロ野球界は交流戦の改革を余儀なくされたようだ。10年目を迎える特別企画として、セ・リーグの主催球場で指名打者制(以下=DH)とし、同制度をペナントレースでも採用しているパ・リーグの主催ゲームでは9人制ルールとする方向で調整されているという(4月16日)。パの理事長を努めるオリックス・村山良雄球団常務は「ファンが主催球場で見られなかった試合のつくり方、選手を見て楽しめる」と取材陣に説明していた。同企画を継続するか否かは「ファンや現場の反応を見て」とも話していたが、
 「DH制の入れ換えで盛り上がらなければ、来季はまた別の企画を考えなければならないでしょう」(NPB関係者)
 と、“悲痛な声”も聞かれた。

 そもそも、この入れ替え企画は選手会の提案だった。それを丸飲みする形で受け入れた理由は『交流戦のマンネリ』と言っていい。
 「ペナントレースの開幕直前、交流戦の優勝チームに贈られる企業賞金が減額されました」(前出・同)

 今季も、交流戦の協賛は某大手生命保険会社だ。昨季5000万円だった賞金が3000万円に減額されたという。理由は伏せられたが、交流戦を協賛するに至って、企業側が提供する賞金に見合う“自社ピーアール”ができなったからだろう。
 パ・リーグ出身のプロ野球解説者はこう分析していた。
 「交流戦が導入された背景には、近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブの球団合併がありました。当時、セ・リーグ各球団は巨人戦の全国放送によるテレビ放映料が入っており、それをパ6球団に分散したくないと思っていました。でも、巨人戦の地上放送が激減し、その間、パ・リーグは観客数を高める独自の企業努力をし、巨人人気をアテにする必要もなくなりました。今ではアウェイでも応援団が詰めかけるパ・リーグとの試合に興味を示しているのは、セ・リーグ球団の方です。セ6球団との試合に特別な思い入れは、パ・リーグ側にはない」

 だが、こんな意見も聞かれた。「ゴールデンウィーク後の5月中旬に交流戦が予定されていることに意義がある」という。
 「ゴールデンウィーク明けは、どの球場も観客動員数が伸び悩みます。連休中に遠出をした人たちの財布の紐がかたくなるからでしょう。興行成績の落ち込む時期にファンの関心を引く営業努力は必要です。交流戦を盛り上げていかなければ、プロ野球界全体が衰退してしまう」(NPB関係者)
 新人王の公式タイトルのほかに『ゴールデン・ルーキー賞』なる新人選手の表彰セレモニーも行われてきたが、今年はない。協賛企業が撤退したからだ。

 この十数年、野球、バレーボール、バスケットボールなどの企業チームが解散(廃部)、休部されてきた。不況による資金難がその理由だというが、
 「企業が野球などの集団スポーツのチームを持つことは今後も難しいと思います。しかし、企業ピーアールで、五輪選手や特定のプロアスリートを応援するスタイルが定着しており、決して財界がスポーツに無関心というわけではない。『交流戦よりもクライマックスシリーズに興味がある』と話す大手企業もないわけではない」(NPB関係者)
 との意見も聞かれた。
 マンネリ打破で、DH制の使い方を見直すのも、プロ野球ファンの関心を高めるためだとすれば、意義のあるテストケースと言えるだろう。プロ野球界も広告出資の集め方を考え直さなければならない。

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