入院は2週間に及ぶとされ、年内のスケジュールはキャンセル。主演映画『太陽の家』の完成披露イベントも欠席することになった。
さて、そんな長渕であるが、「芸能界屈指の暴れん坊」との異名がある通り、数々の伝説を残している。
特に有名なのが、お笑いファンの間で「ダウンタウン暴行事件」と呼ばれている放送事故である。
1996年、長渕はダウンタウンが司会の音楽番組『HEY!HEY!HEY!』(フジテレビ系)に出演。当時、長渕は(今もだが)テレビにまったく出演しておらず、ダウンタウンの二人も、まさか長渕が『HEY!HEY!HEY!』の出演オファーを承諾するとは思ってもおらず、同時期に放送された『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)でも、(他局ながら)「なぜ長渕が出演オファーを受けたのか」をダウンタウンの二人がトークテーマにするほどだった。
その『HEY!HEY!HEY!』本番であるが、問題のシーンは長渕が主演した連続ドラマ『とんぼ』(TBS系、1988年)の話題で起きた。この時、ヤクザ役を演じていた長渕は、浜田雅功から「あの蹴り(ヤクザキック)はどこからの発想か」と聞かれた際、長渕は福岡県で歌手修行をしていた時に、ヤクザから執拗に蹴られたことを語っていた。
すると、長渕はすっと立ち上がり、「こんな風に……」と隣に座っていた松本人志を立たせ、強烈なキックを何発も食らわせたのである。
突然のことにビックリした松本が、「怖いわ!この人もう!」とツッコミを入れるというシーンが放送された。
当時、松本は33歳で、芸人としては一番「尖っていた」頃で、業界人の間では二人の間でトラブルになるのではないかとピリついてほか、長渕のキックが常に松本の急所を捉えている衝撃的な場面だったためか、後年ネットでも「長渕剛が松本人志に暴行」といった形で振り返られることがある。
もっとも、この件がきっかけでダウンタウンと長渕は決してトラブルになった訳ではなく、その後も共演を果たすなど、仲の良い姿をお茶の間に見せている。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)