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夜を棄てたキャバ嬢たち(13) 〜接客に対し罪悪感を抱いてしまった悠子〜

 キャバクラとは擬似恋愛を経験できる場である。店側もそれをわかっているのでキャバ嬢たちには恋人の有無に関わらずプライベートの人間関係は明かさないよう指導する場合がある。悠子(28歳・仮名)もまた客に本当の事を黙ったまま働いていた一人だった。

 「私が働いていた店はあらかじめスタッフから“彼氏がいてもいないって言うように”と指導を受けていました。なので本当はいるけどいないと言い続けてましたね。あるお客さんはその言葉を信じて真剣に私のことを好きになってくれたんです。毎回、高価なプレゼントをくれたり、お店に大金を落としていきました。でもそれが続くと申し訳なくなってきてしまって」

 女性と談笑しながらお酒を楽しみたいという者以外にも、客の中にはキャバクラ嬢に恋愛感情を抱いていまう者もいる。悠子目当てに通っていた客は店外デートやメールで交流を続けるうち、ある日、悠子に告白した。嘘をついていることに罪悪感を抱きはじめていた悠子はその時、初めて恋人がいると打ち明けたという。

 「大変なショックを受けていたみたいです。もっと早く教えてほしかったと言われました」

 このことを同僚に話すと、
 “ハッキリと断ってしまうとそのお客さんはお店には来てくれなくなる、もっとうまくやらないと。悠子はこの世界に向いてないよ”
 とアドバイスされた。そして悠子は正直さだけでは成り立たない世界を知った。

 確かに水商売は基本は色恋営業だ。客を喜ばせて恋人気分にさせる。そして指名にもっていき、固定客をつくるのが仕事でもある。恋人のように接客することに対して、罪悪感を抱いてしまう悠子は確かにキャバ嬢に向いていなかったのかもしれない。そして悠子は恋人にも本当のことを伝えていなかった。

 「彼氏には“夜は居酒屋で働いている”と嘘をついてました。彼の性格から絶対にキャバクラは反対されるだろうとわかっていたので」

 客への色恋、彼氏への嘘、様々な罪悪感を抱えた悠子は夜の世界を棄てた。現在は恋人についた嘘を真実へと変えるために居酒屋でアルバイトをしている。収入は減ったが精神の方は安定しているという。

(文・佐々木栄蔵)

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