先発三本柱に不安要素が見つかった。
合宿地の宮崎県総合運動公園には第1クール最多の4万4000人の観客が詰め掛けるなど、日に日に期待感の高まるサムライジャパン。この日も前日と同じカウント1-1からのシート打撃が行われ、松坂、ダルビッシュ、岩隈の先発三本柱を含む8人が登板した。
3人の中で順調な調整ぶりを示したのは岩隈。与田剛投手コーチが「ブルペンでは苦しんでも、シート打撃ではほとんど球が浮かない。実戦向き」と賞賛したように、変化球を低めに集め2安打、1奪三振と力投した。
松坂は奪三振6、自責点1。ダルビッシュは被安打1、奪三振2とまずまずのピッチング内容だった。
3月5日から開幕する東京ラウンド(東京ドーム)に向け、着々と準備を進める三本柱だが、その一方で課題も明らかになった。
開幕戦の先発が有力視されるダルビッシュは「コンディションは問題なかったけど、抜ける球が多かった」とこの日のピッチングを振り返った。イチローを二ゴロに打ち取ったが、ボールが4球続くなど制球に苦しんだ。
WBC使用球がまだ手に馴染(なじ)まない。違和感を感じているようで、152キロを計測したことについても「そんなに(スピードが)出ているとは…。僕の中では(球の)キレがあんまりよくなかった」と首をかしげた。
ダルビッシュといえば、昨年の北京五輪では調整に失敗、ボールコントロールに苦しんだ過去がある。それだけに「ちょっとずつズレが出てくる時期でもある」というコメントは何とも気掛かりだ。
松坂も「課題ははっきりしている。課題を早く修正するだけ。課題の内容? 見てる人にもわかっていると思います」とまだ本調子には至っていない。
2人の修正点について、与田投手コーチは次のように解説する。
「(ダルビッシュは)投げ急いでしまった。リリースポイントも(一定ではない)ね。(松坂は)全体的なフォームのバランス。力が入りすぎていた。休み明けには修正してくると思いますが…」
松坂、ダルビッシュに生じたわずかなスキ。克服できるのか。早ければ強化試合のオーストラリア戦(24、25日、大阪・京セラドーム)で、その答えが出ることになりそうだ。