4日、都内で行われた予備検診に集まった報道陣は30人あまり。昨夏、黒山の人だかり状態だった亀田家の長男、興毅の世界初挑戦を思い起こすと、メディアの激減ぶりは切ないほどである。
あるジムの会長はため息交じりに口を開いた。「内藤と亀田なら因縁があるし、相当盛り上がると思っていたけど、世間の亀田への関心が予想以上にしぼんでいたのが誤算。チケットも余っているようだし残念な状況」
チケットに関しては宮田ジムの割り当て分は完売したが、全体としてはまだ売れ残っている状態。昨今の世界タイトル戦を振り返ると決して低い注目度ではないのだが「もう一声」というのがボクシング界の本音であろう。
亀田ブランドの失墜以外にもマイナス要素はあった。別の関係者はプロモーションの不手際を次のように指摘する。
「ビッグマッチなんだから、もっと積極的に宣伝をすべきだった。それができなかったのは、当事者間で協力関係が築けなかったからでしょう」
この関係者の言うように、協栄ジムと宮田ジムは、世界戦の契約をめぐってもめにもめるなど、決して良好な関係とはいえない。契約が成立したのは記者発表の何と1時間前。仲介者が間に入ってようやく話がまとまるというあり様だった。
さらに問題はこれだけで済まないという。「亀裂は協栄と宮田の間にだけに入っているわけじゃない。亀田家は協栄の言うことなんて聞かないし、宮田と内藤の関係もぎくしゃくしている。こんな状態でプロモーショ活動ができるわけがない」
因縁や険悪といった要素をうまく宣伝材料として生かすのがプロモーターの手腕だが、今回は複数のハードルをクリアできなかった様子。そこでというわけではないだろうが、前出の関係者が代わりに今回の世界戦の魅力を教えてくれた。
「常識的に考えれば内藤が勝つだろうから、アンチ亀田としてはこれほど痛快な試合はない。でもあのファミリーはいつだって何かをやらかす。亀田ファンにしたって見逃したら損でしょ!」