ジョーの真の狙いは12・2日本武道館大会での小橋建太復帰の舞台だった。
ROHヘビー級を31度防衛した怪物の舌は滑らかだった。「三沢光晴は世界中に知られている素晴らしいレスラー」と王者に最大限の敬意を払いつつも「ノアが始まった時から研究は怠っていない。三沢の弱点も見付けてきている。もちろん秘策もあるよ」とニヤリ。
具体的な策については煙幕を張ったが、「エルボーは素晴らしいが、打撃もサブミッションも負けていない。病院に送りにしてやる」とジョーは王座奪取への強い自信をのぞせている。
しかし、ジョーの来日の目的はGHC王座の奪取にとどまらない。本当の狙いは小橋の首だ。
復帰が決まった小橋だが、いまだ対戦相手は未発表のまま。かつてジョーは2005年10月に小橋が初の米国遠征を行った際にニューヨークで対戦し、小橋のチョップの嵐を受け切るなど熱線を演じたが、惜しくも敗れている。その試合はROHで年間最高試合に選ばれる名勝負となったが、ホームリングで敗れているだけに、小橋へのリベンジの思いはひと際に強いようだ。
密かに小橋との再戦の機をうかがっていたジョーは、復帰が決まった12・2の舞台を好機と捕えている。ジョーは「もちろん今の目標は27日にGHCタイトルを三沢から奪うこと。それが一番大切だ」と前置きをしながらも「勝ってベルトを手中に収めた暁(あかつき)には、小橋復帰戦でタイトルを懸けて戦いたい、と本人に直訴するもりだ」と小橋との対戦を熱望している。三沢からのベルト奪取、小橋との初防衛戦がジョーのプラン。三沢とのタイトル戦が行われる10・27日本武道館大会に来場する小橋に直談判して復帰戦の相手に名乗りを上げるつもりだ。
ノアの至宝GHCヘビー級王座が海外流出の緊急事態となれば、ベルト奪回のためにも、ジョーの再戦要求を小橋が受けるのはごく自然な流れともいえる。小橋建太復帰の対戦カードを巡る争奪戦が、何やら騒がしくなってきた。