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震災の影響で「イタコ」大盛況

 青森県下北半島の中央部に位置する恐山は、日本三大霊場(他に高野山、比叡山)の一つとして、古くから信仰の地としてあがめられてきた。特に、死者の声を現世によみがえらせる『イタコ』の口寄せは、恐山ならではの習俗信仰として、無形民俗文化財にも指定されている。

 年2回開かれる『恐山大祭』には、全国各地から大勢の参詣者で賑わうが、今年の夏大祭(7月20〜24日)は、例年以上の盛況ぶりだったという。
 「震災で亡くなった身内と話がしたいと言って、口寄せにやってくる遺族の方がとても増えました。昨年より多い理由は、おそらく心の整理の問題なのでしょう。津波が来たとき何をしていたのか? どうして逃げられなかったのか? 皆さん、当時の状況を聞いてみたいようですね」(地元住民)

 もともと、イタコとは祭りのときに呼ばれ、死んだ祖先の言葉を伝える役割を担ってきた。高齢の女性がほとんどで、普段はむつ市や八戸市などで普通に生活しており、要請に応じて口寄せを行っている。
 時として「外国人の霊を呼んだのに日本語を喋った」、「下戸なのに酒の心配をされた」など、その信ぴょう性を疑問視する声もあるが、今では現世に残された者に対する一種の霊的カウンセリングとして認識されており、いちいち細かい部分に突っ込みを入れるのは無粋というものだろう。
 口寄せの料金は1口3000円からで、1回15分程度。予約は受け付けていないので、大祭時には長い行列ができる。今年は4時間待ちとなるほどの人気で、大勢の人が周りにいるにもかかわらず、号泣する遺族が続出したという。

 あの日のように突然、死を突きつけられた人たちが、心の安らぎを求めて足を運ぶ姿は今後も続きそうだ。

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