現在のトップランナーといえば、『M-1グランプリ2015』の覇者であるトレンディエンジェル。これまでは、コンビ芸人のどちらかがハゲというのが通例だったが、トレエンの場合は、額が広いたかし、その額から頭頂部までが皮膚でつながっている斎藤司の両方だ。ネタでも頭皮をイジるが、漫才の根本がしっかりしているため、子どもから年寄りまでが嫌味なく楽しめる。もはや、“国民的ハゲ芸人”といっていいだろう。
いっぽう、『キングオブコント2015』(KOC)の優勝者は、コロコロチキチキペッパーズ。持ちギャグの「やっべ〜ぞっ!」を超美声で発するナダルも、ナチュラルなスキンヘッド。昨秋に、コント日本一の称号を手にしてから現在までは、休日返上で本拠地の関西と東京と行ったり来たり。伸びしろは、青天井だ。
そのKOCで12年に優勝したのは、バイきんぐ。まったくの無名から跳躍したのは周知の事実だが、小峠英二もツルッパゲだ。生き馬の目を抜く芸能界で、ブレイクしてからここ4年は安定した仕事の量で、コンスタントにオファーが舞いこむ小峠。芸はもちろん、フリートークや司会業、さらには、出川哲朗や狩野英孝をしのぐほど、ドッキリ企画が様になることから、“ドッキリきんぐ”の肩書も付いた。
翌13年には、ピン芸人日本一を決定する『R-1ぐらんぷり2013』にも異変が起こっていた。前髪の一部分だけがハゲている、三浦マイルドが優勝していたのだ。こちらも、バイきんぐと同じく当時はくすぶっていたが、まさに一芸で人生を変えた。
ここ10年の鉄板芸人といえば、ブラックマヨネーズ・小杉竜一と、フットボールアワー・岩尾望。加えて、ここ数年では、カンニング竹山、我が家・坪倉由幸、アンガールズ・田中卓志の薄毛ぶりが取りざたされている。
芸人も年を重ね、このカテゴリーの企画の参画者も増えた。ジャンルとして立派に確立した感がある、ハゲ。しかし、芸人もひとりの男。フサフサ男になって、モテたい! という叶わぬ夢も、淡く抱いているようで…。