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ダービー卿CT(GIII 中山芝1600m 4月1日)本紙特捜班ピカレスクコートで一発大逆転

 春のGIシリーズの狭間に当たる今週。注目は2冠馬メイショウサムソンが復帰する「第51回大阪杯」(GII 阪神芝2000m)だが、馬券的な旨みは断然こちら。一長一短のあるメンバーが集った「第39回ダービー卿CT」(GIII 中山芝1600m 4月1日)だ。
 2002年に別定戦からハンデ戦に設定が変更されて以降、1番人気がことごとく馬群に沈んでいるこのレース。昨年に至っては3連単125万840円の特大万馬券が飛び出す、春の嵐が巻き起こっている。
 GI・安田記念のステップレースとは名ばかり。例年、出走してくる面々は2週後に行われる西のマイラーズCと比較すると明らかに一枚落ちである。荒れている最大の要因を簡潔に示せば、人気に応えるだけの実力を伴った馬の参戦がないということだ。
 今年、1番人気が予想されるのは中山記念で3着に好走したダンスインザモア。中山は3勝の巧者でハンデも据え置きの57kgで止まった。表向きの不安はとくにないが、直前の追い切りは明らかに失敗だったといいたい。
 当馬の好走パターンは直前余裕残し。振り返れば王道を歩んでいた2〜3歳時、新馬、500万、スプリングSを勝利した際の最終追いは、いずれも半マイルからの楽走か、出しても5F66秒台とセーブした内容だった。その傾向は久々に勝利を挙げた前々走・ニューイヤーSも同じで、このときも半マイルから流した程度に抑えている。
 逆に、2番人気に支持されながらも6着に終わった昨春の豪州T、叩き2戦目でまったく動けなかった昨秋のオーロC11着が、ともに5F62〜63秒台の好時計…すなわち、この馬の場合、直前に目を見張るような動きを見せたときこそ“黄信号”なのである。
 今回の最終追いは5F63秒7。「手応えより速いタイムが出てしまったが、それだけ具合がいい証拠でしょう」とは相沢師だが、予定通りの調教ができなかったことは明白。特捜班の決断としては、バッサリ切り捨てたい。
 注目は実力の割に人気の盲点となっている◎ピカレスクコートだ。
 昨秋にフランス遠征した際は凱旋門賞に挑戦するディープインパクトの帯同馬として、その名を全国区に知らしめた(?)が、ディープに胸を借り、スパーリングパートナーを務めることで体力を格段にアップさせたことも事実。現に当地で行われたGII・ヴィルデンシュタイン賞では2着に逃げ粘り、一介の“付き人”ではないことを世界のホースマンにアピールしている。
 地力強化はもとより、ここにきて精神面でもひと皮向けた。これまでの勝ちパターンは逃げ、もしくは先行抜け出しだったが、前走・道頓堀Sでは中団で折り合い最内からスルスルと抜け出す技ありの勝利。上がり3F34秒0の末脚で突き抜けた内容には、池江寿師も「もともと馬込みは大丈夫だと思っていたが、その通りだったね。抜け出すときの脚も速かった」と称賛する。
 また、合わせて注目してもらいたいのが、手綱を取った秋山騎手の存在。テン乗りにして、脚質転換を図り、いきなり結果を出すのは神業といっても過言ではない。それをいとも簡単に成し遂げてしまったのだから、よほど相性がいいのだろう。陣営が続けて鞍上に据えたのも当然だ。
 中間の気配も文句なし。2週続けて坂路で800m51秒台を叩き出しているように、冬場で多少余裕のあった馬体もここにきてスッキリしてきた。勝った前走からさらなる上積みが期待できる。
 形の上では昇級戦になるものの、前出の仏重賞をはじめ、3歳時には今回と同じ中山芝1600mのNZTで0秒4差4着。オープンで好走歴があるにもかかわらず、ハンデも2kg減の55kgと恵まれた。ニシノデューが飛ばす展開も、自然と好位もしくは中団で流れに乗りやすく理想的だ。過去4勝を挙げているベストの1マイルの“弱メンGIII”なら、あっさり通過できる。

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