意地で振り抜いた8発目の右腕が悲願のベルト奪取を呼び寄せた。
8・19シリーズ開幕戦でみのるの腕ひしぎ十字に捕らえられ、右腕を破壊された健介。その後も執拗に右腕を狙われ、3冠王座戦当日を迎えるまでに右腕はボロボロ。それでも最後はおのれの右腕にすべての思いを乗せ、みのるの首をかき切った。
この日はゴングと同時にダッシュし、ラリアートを一発。5分過ぎからはスッポンのように、みのるの頭をヘッドロックに捕らえ離さなかった。「このベルトを懸けた戦いで力道山先生、馬場さん、猪木さんたちの時代、歴史を感じたかった。たかがヘッドロック、されどヘッドロック」と由緒ある3冠の歴史を噛み締めるように、健介は序盤古風な技にこだわった。
しかし、そんな健介の思いをあざ笑うかのように、みのるは健介の痛めた右腕をロックオン。腕ひしぎ十字固めで執ようなまでに集中攻撃され、健介の壊れかけた右腕は悲鳴を上げた。35分を過ぎにはセコンドの渕正信や中嶋勝彦がTシャツを脱ぎ、タオル投入しようとさえした。健介は崖っぷちまで追い込まれた。
それでも最後は健介のベルトに懸ける執念がみのるを上回った。傷めた右腕を渾身の力で振り抜くこと7連発。それでもカウント3ギリギリで返し、ゾンビのように立ち上がってきたみのるの首に8発目のラリアートをたたき込み、3カウントを奪取。42分7秒の死闘を制し、悲願の3冠王者に登りつめた。
試合後「素直にすごいれしいです」と喜びを爆発させた健介は「この3本のベルトを守ってきた先輩たちも逃げなかった。誰が来てもオレはその挑戦を受ける」と早くも次期挑戦者についても言及し王者の風格を漂わせた。
気になる健介の挑戦者には、早くもVM勢が名乗りを挙げている。この日、小島聡とのコンビで、川田利明&太陽ケアを破って世界タッグ新王者となったTARUは「次は3冠やな」とVM勢での3冠王座奪取を宣言した。VM勢の中でも健介と小島には因縁がある。全日プロ6・24後楽園ホール大会では健介とタッグを組んで戦っていた小島が裏切り行為を見せVMに転身している。
健介自身も小島とのタイトル戦について「小島がやるっていうんだったら小島でもいいし」と迎撃する構え。「これだけ大変な思いをして獲ったんだから、防衛戦も強い相手と戦いたい」と力強く宣言した健介は、右腕に熱い思いを託し防衛ロードを歩むつもりだ。