今年もケガの為開幕に間に合わず、ファームでも中継ぎとして調整。5月1日に一軍に上がり、中継ぎとして献身的にチームを支え続けた。防御率も1.82と安定し、首脳陣の信頼感を得てから、7月9日のスワローズ戦で中継ぎ登板を終えると、一旦登録を抹消。再び先発としての調整を経て、7月20日に約1年ぶりとなる、まっさらなマウンドへ向かった。
ホームグラウンドを埋めたベイスターズファンから、期待のこもった声援を受け、初回には、2番の大島洋平は150キロのストレートで、3番のアルモンテはチェンジアップで連続三振に切って取ると、3回までパーフェクトピッチングを披露。味方打線が3回に3点をプレゼントしてくれた直後の4回に、先頭の平田良介にホームランを喫してしまうが、落ち着いて後続を断ち切り、相手にペースを握らせない。5回にもピンチを迎えたが、無失点で切り抜け、5回78球、2被安打、8奪三振、1与四球と、久しぶりの先発の役割を果たし、降板した。
チームは5人のリリーフ陣をつぎ込み、4-3で見事勝利を上げ、石田には昨年4月13日、この日と同じ横浜スタジアムでのドラゴンズ戦で、7回2自責点での勝ち星をあげて以来の、嬉しい勝利となった。ヒーローインタビューでも「最高にうれしいです!ファンの皆様の声援が力となり、勝つことができました!」とし、勝利の際の決め台詞「アイラブ横浜!」と声を挙げると、スタンドからも大きな声援が飛んでいた。
中継ぎという役割でしっかり結果を出し、自分の手で再び掴んだ先発の座。与えられたポジションではないところに価値がある。中継ぎでお立ち台に立った際も「いい経験をさせてもらっている」と答えたこともあり、その言葉通り、リリーフの過酷さを体験したことも、石田を一回り大きくしてくれたことと思いたい。
これで今季完全復活した今永昇太と、17日に久々に地元横浜スタジアムで勝利した濱口遥大に加え、石田も先発ローテーションに入り込んだ。昨年の新人王・東克樹も21日にファームで先発し、まずまずのピッチングを見せた。昨年のベイスターズの構想の目玉、“先発左腕カルテット”が、夏場の厳しい時期に形成される時、ジャイアンツ独走のセ・リーグに待ったをかける存在になる可能性は大いにある。
取材・文・写真 / 萩原孝弘