最近のサップは負けが続き精彩を欠いているが、猪木はその資質を高く評価しており、野獣再生計画に着手。9日が再生の第一歩となる。
会見には9日の有明大会のメーンで小川直也と組み、サップ&高山善廣と対戦するジョシュ・バーネットも出席。2人はかつて師弟関係にあったが、現在、袂を別つバーネットは「ミスター・イノキがサップの再生プロジェクトを組んでいるが、残念ながらそれは無駄になる。俺がサップを終わらせる」と宣言。
これがビーストの怒りに火をつけた。会見後、サップは本誌の単独取材に「彼からは多くのことを教わった。今回はリング上で恩返しをするチャンス。俺に終わりはない。俺が何をやってきたか、すべてを見せつける」と応戦。師匠越えを誓い、猪木からは「有明は強いビーストに戻る第一段階。パワー中心に行け」というアドバイスを受けたことを明かした。
さらに、サップは所用のために会見を欠席した小川、高山についても言及。小川との初遭遇については「オガワのことは日本に来る前から知っている。グレートなファイターだからな」と目を輝かせた。
一方で暴走王の“野獣狩り宣言”はカンに触って仕方がなく「もう十分に研究済みでオガワの弱点は分かっている。肉体的にアドバンテーは私にある。パワーで押し潰す」と圧殺を予告した。
パートナーの三冠ヘビー級王者の高山とは、2002年大晦日の『イノキ・ボンバイエ』で死闘を繰り広げた間柄で、サップは「頼もしいパートナー」としながらも、「信用はしてない」と言い切る。その理由は明快だった。
「メーンの試合は全員が敵。俺がそうであるように、4人とも“誰よりも目立ってやる”と考えているはず。俺は誰にも負けない。有明で新生サップを強くアピールしてみせる」
IGFの主役は小川でなければバーネットでもない。ましてや高山でもない。サップは有明大会で覚醒し、師・猪木の目前で、IGFの主役の座に躍り出るつもりだ。
◎会見場所は猪木酒場
もう、ハチャメチャだ。IGFが有明大会の前夜祭として公開記者会見を開いた場所は、なんとアントニオ猪木酒場新宿店。酒場での公開記者会見など前例のないことだ。
会見スタート時には、店内は猪木信者で膨れ上がる状態となったが、大多数はすでにアルコールが入った状態。ほろ酔い気分も手伝って会見は異常な盛り上がりをみせた。ただ、盛り上がりすぎるあまり、出場選手たちがマイクを手に、有明大会への抱負を口にするものの、話がよく聞こえないという前代未聞の事態となる。
そんな中、有明で激突する澤田敦士と“超獣”ザ・プレデターの乱闘が勃発。米国武者修行で自信を培い、たくましさが増した澤田の「お前は準備ができているのか?」という挑発に、プレデターが「お前がたいして実力のないことを、俺がリング上で証明してやる」と激怒。場外乱闘を目の当たりにしたファンのテンションが、一層高まったのは言うまでもない。
「面白ければいい」とは猪木がよく口にする言葉だが、今回はまさにそれを字でいく会見であった。
また、猪木は噂される衆議院議員総選挙への出馬については「どこまで正式と言っていいか分からないが、政党からの話はある」と打ち明け、「9日のリングの上で『イエス』か『ノー』の答えを出す」とした。