3月28日に行われた春のセンバツ2回戦、星稜(石川)対習志野(千葉)で浮上したのが「サイン盗み疑惑」。4回、星稜・林和成監督は習志野の二塁走者が捕手のサインを見てそれを打者に伝える、いわゆる“サイン盗み”をしているのではと疑い審判に確認を要求。しかし、サイン盗みがあったとは認められず、試合も「1-3」で敗れた。
これに納得のいかない林監督は、試合後に習志野・小林徹監督へ直接抗議。翌29日に一度は習志野側や高野連に謝罪するも、その後地元へ帰郷した後に学校側に無断で週刊誌の取材を受けていたことも発覚した。
「疑われるようなプレーをしている方が悪い」、「証拠もないのに難癖付けるのはダメだろ」と、高校野球ファンの間でも見方が分かれていたこの一件。当事者の林監督は一連の行動を問題視した学校側から4月15日に処分を受け、6月5日まで指導を禁じられている。
選手の起用法を巡り波紋を広げたのが、大船渡(岩手)の右腕・佐々木朗希の「決勝戦登板回避」。7月25日、最速163キロの球速を誇る超高校級投手の佐々木を擁する大船渡は、岩手県大会決勝で強豪・花巻東と対戦。大船渡にとっては勝てば35年ぶりの甲子園出場が決まる大事な一戦だったが、チームを率いる国保陽平監督は「故障を防ぐため」という理由でエースの佐々木を試合に出場させず、チームは「2-12」で大敗を喫した。
国母監督の決断によって起こったこの一件を受け、高校野球ファンは「勝てば甲子園なんだから投げさせるべきだった」、「監督が投げさせないって判断したんだからそれが正解だろ」と賛否両論。また、テレビ出演した際に「最近のスポーツで一番残念」、「怪我が怖いならスポーツはやめた方がいい」と登板回避に苦言を呈した張本勲氏(元巨人他)に、ダルビッシュ有(カブス)が自身のツイッターで不快感を表すなど現役プロ・OBによる“場外乱闘”も起こった。
ただ、この一件があってもなお佐々木の才能は高く評価されていたようで、10月のドラフト会議では4球団がドラフト1位で指名し、くじ引きの結果ロッテが交渉権を獲得。その後佐々木は11月30日に、「契約金1億円・年俸1600万円プラス出来高」でロッテへ入団することが決定している。
9月26日に発覚し物議を醸したのが、横浜(神奈川)の監督・部長による「暴力・暴言問題」。同日、同校野球部の36歳の平田徹監督、42歳の金子雅部長が、部員に対し暴言や暴力を繰り返していることを地元メディアが報道。この報道を受けて学校側は、一時的に野球部の活動を自粛する方針を打ち出した。
春夏合わせて5回の甲子園優勝を誇る強豪校で発生した不祥事に、ファンからは「これまで培ってきた横浜のブランド力が地に落ちた」、「パワハラ指導で選手を押さえつけるような指導者は即刻辞めろ」と怒り心頭。なお、その後現役部員への聞き取りなどにより事実確認を行った学校側は、9月28日に平田監督、金子部長の両名を解任。その2日後の同月30日に野球部は活動を再開した。
グラウンドでプレーする選手を差し置いて、指導者が悪目立ちすることが多かった2019年。迎えた2020年は監督ではなく、選手に関するトピックが大きな話題を集めてくれることを祈りたい。
文 / 柴田雅人