問題のシーンは7回表に発生。ノーアウト満塁で打席に入った斉藤選手が、ピッチャーゴロを放ち併殺を避けようと全力疾走した際、起き上がれなくなってしまった。斉藤選手の両足は痙攣を起こしてしまっており、この原因は熱中症なのだという。
斉藤選手はそのままベンチに下がり交代。状態が心配されたが、試合後の整列には顔を見せており、大事には至らなかった様子。しかし、試合中に選手が熱中症によって倒れることは異常であり、命の危険にさらされていることにほかならない。大会を主催する日本高等学校野球連盟(高野連)が、熱中症に有効な対策を採っていないことが浮き彫りとなったと言える。
今大会では、球場内に28台のエアコンが増設され、入り口にミスト噴射機を設置するなどして、観客の熱中症対策が進められた。また、開会式では、昨年に続きペットボトルの携帯が認められ、オールドメディアは「熱中症対策バッチリ」「スタンドは快適だった」などと書き立てた。
しかし、選手については、水分補給タイムが設けられたこと、手のひらを冷やすための冷たいペットボトルが用意されたことぐらいで、高野連が有効な熱中症対策を施したとは言い難い。昨年、選手を含め647人が救護室に搬送、うち343人が熱中症の疑いと診断され、まさしく「異常世界」となった甲子園だが、今年もその本質は変わっていない。一部には、慰安婦関連の誤報を犯し、反日的な記事を常時掲載し続ける朝日新聞が主催者だけに、「日本人を命の危険に陥れて楽しんでいるのでは」という声もあるほどだ。
そして開催前、大船渡・佐々木朗希投手の「登板回避」問題で、多くの野球関係者が過密日程を批判していたものの、開幕すると地域性などもあり批判の声は少なくなり、『熱闘甲子園』(テレビ朝日系)のお涙頂戴映像に涙するとともに、試合に一喜一憂し楽しむ人ばかりとなり、選手を死の危険に陥れていることを、忘れてしまっている。
高校野球を楽しむことは決して悪いことではなく結構なこと。しかし、過密日程や熱中症の対策が進んでいない現状、そして、酷使による選手の重大な故障問題を忘れてはならない。実際に、熱中症によってグラウンドに倒れる選手が出たことを、ファン関係者とも重く受け止めるべきだ。