「岡本(和真=21)の扱い方ですよ。思い切って、4番にしろとの声が絶えないんです。でも、高橋(由伸=43)監督は首を縦に振ろうとしません」(球界関係者)
目下、4番はマギー(35)が務めている。昨季本塁打王のゲレーロ(31)でスタートしたが、坂本勇人(29)を1番に置く攻撃的な打順に変更した際に「3番・ゲレーロ、4番・マギー、5番・岡本」とし、以後、好調を保っている。
「4番・岡本」の進言は、“期待の声”でもあるようだ。阿部慎之助(39)に衰えが隠せなくなって以来、巨人は助っ人に4番を託すことが多くなってきた。プロ4年目でようやく覚醒した”生え抜きの大砲”を4番打者として、「もっと成長させろ」というわけだ。
プロ野球解説者の一人が岡本の起用について、こう説明する。
「高橋監督は岡本の開幕スタメンを決めかねていました。岡本に関しては求めているものが大きいというか、オープン戦も辛口の評価をしていました。ベテランの阿部の調子が上がってこなかったのもあって、渋々、開幕スタメンを認めたようなもの」
どちらかといえば、高橋監督は優柔不断なほう。決断を迫られると、失敗したときのリスクを先に考えてしまうという。「4番・岡本」はチーム内からも進言があったそうだ。それでも、生え抜きの4番誕生に二の足を踏む理由は、単なる優柔不断ではないという。
「フルシーズンを乗り切るだけの精神力があるかどうかが問題なんです。高橋監督はこの先、岡本は不振に喘ぐときが必ず来ると見ています。それを岡本がどう乗り切るのかもありますが、4番から外さないほどひどいスランプだったら、打撃不振と『4番失格』の二重の精神的ショックを受けます。それを乗り越えられるだけの精神力を持っているのかどうか…」(前出・プロ野球解説者)
「巨人の4番」なる重責は、経験した者でなければ分からないそうだ。高橋監督は経験者として、岡本は時期尚早と見ているのかもしれない。もっとも、「4番昇格」を推す関係者からは「試練として経験させるべき」との声も聞かれたが…。
「高橋監督は『4番岡本』の準備を始めていると思います。ロッカーの位置ですよ」(前出・関係者)
岡本のロッカーは、阿部のすぐ隣だという。
試合前はもちろん、試合後も阿部から岡本に話し掛け、色々と教えているそうだ。
「前任の原監督の時代、阿部のロッカーはベテランの大道(現ソフトバンクコーチ)や故・木村拓也氏のすぐ近くでした。彼らが阿部に色々とアドバイスをしていました。今も阿部がチームリーダーとして一目置かれている存在になったのは、『ロッカールームで学ぶ時期』が知ったからです」(前出・同)
技術的なアドバイスだけではなく、立ち振る舞いや言動に関する”お小言”もあるそうだ。好機で打てなかったときに「下を向くな」、その反対に得点に絡む安打を放ったとき、ガッツポーズを見せても良い場面といけない場面がある。それらを認識することは、遠回りに見えても、チームの中核選手たる心構えにつながっていく。阿部はかつて自身が学んだことを岡本に伝えているのだろう。
そんなロッカールームの位置を決めたのは高橋監督だ。岡本の4番昇格が時期尚早だとしたら、高橋監督はベテラン阿部のお墨付きが出るのを待っているのかもしれない。