新日本は90年代、G1の次のシリーズで、G1になかったスペシャルカードをメインに、主要都市のアリーナクラスの会場で『G1スペシャル』というシリーズを開催していたが、今回のイギリス大会はまさに『G1スペシャル』というタイトルをつけても文句のないカードぞろいだ。
“何かが起こる”G1最終日。12日の東京・日本武道館大会のセミファイナルで、オカダ・カズチカ&棚橋弘至対鈴木みのる&ザック・セイバーJr.のタッグマッチが実現した。この中でG1にエントリーしなかったのは、みのるだけ。昨年もエントリーされなかったタイチが、後藤洋央紀を最終日のアンダーマッチで破り、NEVER無差別級王座への挑戦権を得たが、今年はみのるがオカダを完膚なきまでに叩き潰しピンフォール。なんとG1に“選ばれなかった”みのるが、驚きの飛び級でIWGPヘビー級王座への挑戦権を得たのだからたまらない。
みのるは10、11日と試合後に不気味な笑顔を見せていたのだが、全ては最終戦でオカダとの対戦を実現させるためだったことを12日の試合後に明かしている。みのるはその日が来ると確信してG1のアンダーマッチに出場し続けていたのだ。昭和最後の新日本を知るみのるにとってIWGPヘビー級王座は手に入れておきたいタイトル。本人も「あのベルトは予約済みなんだよ」とかつて語っていた。ファンからの待望論も多く、イギリスの地で悲願達成なるか注目されるところだ。
G1を負け越して終わってしまった前年度覇者の棚橋。ウィル・オスプレイに敗れ負け越しが決まった10日の武道館大会では「G1負け越し、いつ以来だろう。みんなが俺に引導を渡してくる。『棚橋もういいよ、棚橋もういいよ』って。オカダ、飯伏、内藤、オスプレイ…もう引導はもらいすぎてるから。必ず復調して、必ず棚橋は戻ってくるから」と強がっていたが、内心穏やかではないのは表情を見れば一目瞭然だった。
しかし、11日の武道館大会でブリティッシュヘビー級王者のザック・セイバーJr.とのタッグマッチで3カウントを奪うと潮目が変わってきた。12日の試合後に次期挑戦者としてザックから逆指名を受けたのだ。本人も「G1クライマックス最終日にして、進むべき道、また、テッペンを目指すための第一歩、見つかりそうです」とニヤリ。今年のG1は棚橋の「志」を引き継いだ飯伏幸太が優勝したが、まだまだ「タナハシ」のブランドは落ちていない。
その証として、すぐにタイトルマッチ挑戦のチャンスが巡ってきた。棚橋にとってはブリティッシュヘビー級王座も巻きたいベルトのひとつ。ここから再び新日本プロレスの中心に戻るキッカケを作ることができれば、来年のダブルドームも面白くなるはずだ。
他にも石井智宏と、バレットクラブに電撃加入したKENTAのNEVER無差別級選手権試合、IWGPタッグ選手権試合など、新日本のビッグマッチがロンドンで爆発する。
(どら増田)