それでなくとも大自然ゆえの豊かな食材に恵まれる北海道で、夕食会を主催する福田首相夫妻は各国首相夫妻をもてなすため、新鮮な海の幸、山の幸をてんこもりにした超豪華メニューを用意した。
まずは輪島塗の杯で乾杯。福田首相らは、料理が運ばれる前から杯をいじくりまわして落ち着かない。それもそのはず。利尻島のバフンウニや毛ガニ、子羊のローストなど北海道産食材で“上質な素朴”をアピール。ディナーのテーマを「北海道、大地と海の恵み」とタイトルするほど自信たっぷりのコースを準備したからだ。
前菜はキャビアのコルヌ詰めなど4種。七夕にちなんで笹を飾った皿に盛られた八寸の後には「オホーツク産毛ガニのビスク“カプチーノ”」を出した。庶民には想像しにくい料理だが、新鮮なとれたての毛ガニをミソまで使い、完熟トマト、羊蹄山の流水で仕立てたスープという。
網走産キンキの塩焼きに続くメーン料理は、釧路市に隣接する白糠町で育った子羊のロースト。中村勝宏総料理長が惚れこんで特別注文した乳飲み子羊に、美瑛産アスパラガスを添えた。
豪華な一皿を引き立てる銘酒には、米カリフォルニア州屈指のワイナリー、リッジ・ヴィンヤーズの「リッジ カリフォルニア モンテ ベロ 1997」をはじめ、ハンガリー、フランスの代表的ワインを並べた。国内産では、静岡県・磯自慢酒造の日本酒「磯自慢 純米大吟醸中取り」がさまざまな料理と相性がいいという理由から選ばれた。デザート盛り合わせも豪華だった。
福田首相はぜいたくな料理こそ最上級のもてなしと考えたのだろうが、今サミットのディナーとしては豪華すぎた。この日の午後もアフリカ7カ国の首脳を招いて拡大会合を開き、世界的な食料価格の高騰などを議論したばかり。食料高騰は低所得国に大きな打撃を与え、20以上の国で暴動やデモが起きるなど社会不安が高まっている。議長国の首相が議題を忘れたかのようなぜいたくディナーを堪能しては話にならない。完全に会議の主目的と離れてしまった。
8日には各国首脳夫人が洞爺湖の北約20kmにある真狩村を訪れ、取れたての新鮮な野菜や魚介類を販売する特設の市場「北のまるしぇ」を見学する。隣接するレストラン「マッカリーナ」で福田貴代子首相夫人が昼食会を主催する。