定置網にかかっている所を発見されたときは、まだ生きていたという。該当の人魚は上半身が男、下半身が魚で全身が白く、身体的な特徴から深海に棲息していたものではないか、と推測されている。
人魚を捕まえた舟は一度境港に戻ったが、同市には設備の整った水族館が無いため県内の水族館に移送されたと報告されている。
この衝撃の報告は地域のニュース番組で紹介されたようで、同ニュース内では船内で撮影されたとみられる捕獲の一部始終を捉えた写真も含めて報道されていた。このニュースについては、今でも動画投稿サイトYouTubeで確認する事が出来る。
ここまで来て、ニュースの真偽に疑問を持った人は多いだろう。
確かに、映像はYouTubeなどで確認できるし、件のニュースを流したとされる地方のニュース番組も実在している。しかし、人魚については生きたまま捕獲されたというのに、動いている様子を捉えた映像などが残っていない。他の写真にもCG処理を行ったと思しきものがあるため、この報道は何らかの理由があって作られたフェイク映像だと考えられる。一説では映像作品のワンシーンのために作られたものだとされており、それがあまりに巧妙に出来ていたために信じる人が出てきてしまったのだろう、と考えられている。
こういった巧妙に作られたフェイク映像がニュースとして報道されてしまうことは、主に海外などでよくあるケースだ。中には話題になり、注目されることを見越して、凝った内容のオカルトフェイク動画を作ってYouTubeなどの動画サイトに投稿。最後にサイトURLや広告を貼ってネタバラシする方法をとる人達もいる。これは衝撃映像での集客と口コミを狙ったCM方法だが、この手の動画で作られたUFO動画や心霊動画が「ネットで話題の最恐動画!」としてテレビ等のメディアに取り上げられ、中には実際のUFOや幽霊を捉えた映像として扱われてしまう物もあるのが皮肉なところだ。
ちなみにこの映像がネット上に上がったのは2009年。じわじわと注目を集めているらしいこの動画と人魚も、やがて「本当にあった人魚捕獲事件」として扱われるようになるのだろうか。
(文・絵:山口敏太郎事務所)