残り2勝は札幌で、左回りは0勝。一昨年秋の天皇賞も15着に大敗している。しかし本当に東京は苦手なのか。藤井寿雄調教厩務員は「あれは不利な大外からのスタートが響いた。直後に寄られて最後方から進む展開で、流れに乗れなかった」と敗因を挙げた。
「普段のケイコは、むしろ左回りの方が乗りやすい」というほど。確かに昨年のジャパンCは0秒2差4着。3着のウオッカとはアタマ差の接戦だった。「一瞬『やった』と思ったぐらい。最後は差されちゃいましたけどね」。東京が鬼門と決めつけるのは、まだ早いかもしれない。
藤井さんは、この道10年の中堅。初重賞制覇はスムースバリトンの東スポ杯2歳S(2004年)。父も厩務員で、厩舎が目と鼻の先の宗像厩舎で働いている。
「親父は安い馬で重賞を勝たせている。成績だけで親父を超えたなんて思ってませんよ」。父は重賞7勝のバランスオブゲーム(1999年のセレクトセールで913万円)を手掛けた。大先輩として、その手腕は尊敬の対象であり、目標だ。
マツリダゴッホは、秋初戦のオールカマーで3連覇の偉業を達成したばかり。「前走は追い切りの動きが硬かった。それに比べたら、状態は今回の方が数段いい」と藤井さんはうなずいた。
そして、最後にこう締めくくった。「長くいい脚は使えないので、中山がベストなのは確か。でも乗り方次第でチャンスは十分ありますよ」