梅は、日本ばかりではなく中国や台湾など東アジアの国々で愛でられている花である。台湾では、東部の花蓮などで前年の11月から咲き始め、年が開けると沖縄へ達し、その後、1月下旬の鹿児島に上陸、九州北部から四国へと北上して行く。梅の名所として知られる和歌山県や小田原の梅林は2月半ばが見頃であり、水戸の偕楽園は2月末から3月にかけてが見頃となる。
一方の桜前線は、梅前線のようにグラデーションを描かない。まずは温暖な東京などの都市部のほか、九州南部や四国で3月下旬に咲き始める。西日本では3月中に咲き始め、北関東や東北南部だと4月上旬となる。そこから東北北部の4月下旬を経て北海道で桜が咲くのは、もっとも遅いところでは5月下旬となる。桜といえば入学式シーズンといったイメージもあるが、これは全国共通のイメージではないのだ。
この梅前線と桜前線の動きが一致する場所が、東北最北端の青森から北海道の南部といわれる。2018年には青森(4月19日)や函館(同25日)で34年ぶりに、梅と桜が同時開花し話題となった。
梅前線はおおよそ1日あたり約15キロのペースで北上するのに対し、桜は約35キロのペースで北上する。約2か月の差がここで埋まるのだ。青森や函館ばかりではなく、東北北部の岩手県や秋田県も梅と桜を同時に鑑賞できる場所として知られる。
今年のGWは改元を伴い、10連休となる。海外旅行の航空券は高騰中であるので、ちょっとした国内旅行として梅前線と桜前線を同時に追いかけてみてはいかがだろうか。