開幕週のお手本ともいうべき、絵に描いたような逃亡劇。しかし、見た目とは対照的に、ジョッキーにとっては非常に難しい一戦となった。レッドアゲートがいったんハナを主張したため、「押っつけないと前に行けない状況」。さらに、「行き切った後に、ハミが抜けるかどうか心配だった」。リズムを崩せば馬の気分を害し、その時点でジ・エンド。しかし、和田はこの2つの課題を見事にクリアした。
1000メートル通過を60秒3の平均ペースに落とすと、後続を3馬身ほど引き離して気分良く愛馬を逃がす。直線を迎えてもプラチナの脚色は衰えることなく、内から差してきたニシノブルームーンに1馬身3/4差をつける完勝だった。
「半年ぶりの実戦だったけど、攻めの感じから体調はいいと思っていた。チャンスをもらって、勝ててうれしい」と和田が素直に喜びを表せば、宮調教師も「まだ予定は立てていないが、どこかのサマー2000シリーズを使っていきたい」と意欲を見せた。
それにしても、3年前にハンデ戦になって以降、優勝したのは49、53、48キロ、そして今年は53キロと軽量馬ばかり。この先、実績馬受難の一戦として定着しそうなムードがマーメイドSにはある。