しょこたんがブレイクしたのは、本人がキャラを隠さずに全開にしたことだ。ヲタクである自分にコンプレックスを持っていたものの、それを武器にしようと思い立ってから快進撃が始まった。
考えてみれば、このご時世、いかにもアイドルっぽいキャラ設定は世間的には胡散臭く見られるだけで、もはや無理。ならば、本来持っている(過剰なる)姿をさらすことが逆にギミックになり、従来とは違った幻想を生み出す。方向性は違うが、沢尻エリカ(21)も「本来の姿を見せる」という意味でブレイクの仕方は同じである。
ともあれ、アイドル業界を活気づけたしょこたんの紅白出場やブログの10億ヒットは大変めでたい話題である。本人が悩むことなく、本来の姿でブレイクする。こんなに嬉しい話はない。
さて、先月30日にしょこたんが4枚目となるシングル『snow tears』を発売した。宣伝のためにテレビに出まくっているわけだが、バラードを歌いあげるしょこたんを見ていて、ふと思った。
「何かが足りない…」
しょこたんがもっと国民的なアイドルになるために歌というのは確かに有効な手段だ。だが、その歌を見ていて物足りなさを感じるとは、これはどういうことか…。
しばらく考えて、理由が判明した。振り付けがないのだ。思えば、しょこたんが『セーラームーン』のマネをするときには必ず“本物”の動きをマネている。そうすることで『セーラームーン』への憧れは一層強くなり、“本物”になった快感が得られる。それと同様に、しょこたんの歌う姿を見た小学生が思わずマネしたくなるような、キャッチーな振り付けが必要なのだ。
それを考えるのは、もちろんしょこたん本人だ。“振り付けありき”で曲を用意することも肝要である。曲だけ用意して、あとは周囲の大人たちは黙ってしょこたんに任せておけばいい。
だって、しょこたんのプロデュースをできるのはしょこたんしかいないのだから。