「彼は毎週、電子書籍の情報誌でデータを収集したり、ウェブサイトの『食べログ』なんかもよく見ているため、お店選びのセンスは抜群でした。さらに経済的にも余裕があるため、デートの際、こちらがお金を払ったことは1度もありません」
彼はルックスやファッションに関しても申し分なく、奈々さんにとっては理想の恋人だった。しかし、食事デートの終盤、彼女がトイレに立った後に信じられない光景を目の当たりにしたという。
「私がお手洗いから戻る途中、テーブルの方を見たところ、なぜか彼が私の使ったスプーンやフォークなどを、ペロペロと舐め回していたのです。一応、周りは気にしているようで、目をキョロキョロさせながら舐めているのですが、その表情は、正直めちゃくちゃ気持ち悪かったですね」
使用済みフォークを必死に舐める恋人を目撃し、奈々さんはドン引きした。だがそんな彼にはある理由があったという。
「すぐに私は、フォークを舐め回している彼に近づき『え、ちょっと何してんの?』と詰め寄りました。すると、しまったという表情をしながらも『これは奈々のためなんだよ!』と弁明を始めたのです。彼によると『俺は飲食店でバイトしていたから、わかるんだけど、食器を下げた後、若い女性の唾液が付いたものを舐める従業員は珍しくないんだ。だから俺が先に舐めて、被害をあらかじめ防いでるだけ』と、よくわからないことを言うのです。というか、そんなことを言うくらいだから、バイト時代、彼が客のフォークを舐めていたんじゃないかと疑ってしまいます」
その日以降、奈々さんが使ったペットボトルなども、知らないうちに舐められているのではないかと考えてしまい、早々に別れを切り出したという。
(取材/構成・篠田エレナ)
写真・Didriks