2015年に10勝を挙げた右腕は、2016年に札幌ドームで行われた日本ハムとの開幕シリーズに先発し、自身にとってはその年唯一となる勝利を収めている。その後、制球に苦しみ、翌年にクリーニング手術を受けるなど、なかなか勝ち星に恵まれなかったが、昨年終盤に見せた好投が今年のキャンプ、オープン戦と続いており、東明の持ち味である“攻め”のピッチングも戻ってきた。30日の開幕2戦目には、3年ぶりに札幌での開催シリーズに先発をする予定だ。
「自分がミスをするのが嫌。ストライクゾーンに投げるのは基本線」
23日のオープン戦(阪神戦)では、6回2/3を7安打2失点ながら無四球だった。オープン戦3試合でも与えた四球は2と少ない。東明にとってのミスとは四球のことを指す。際どい球よりもストライクゾーンで勝負しているだけに、攻めているイメージを相手チームにも与えるだけではなく、登板した試合はテンポ良く進んでいる。
「今のところはいい感じになればいいなと思ってます。カーブを多く投げました。良かったです」
この日はカーブでカウントも取れていた。今シーズンの東明にとっては大きな武器になるかもしれない。日本ハム打線相手にも効果的に使うだろう。
「基本的に全部0とか、ヒットを打たれないようにするのは難しい。打たれることは必ずある。でも、打たれるより抑えた方がいいので。球数は気にしないです。それより、バッターが3巡目になると初回のようにはいかないので、そこは考えて投げたい」
久々に球数が100球を超えたが、問題はなかった。ピッチャーは「打たれなくない」という思いから、際どい球を投げることで四球による出塁を許し、ピンチを作りがちだが、東明は打たれてもいいから「点差が離れていれば追いつかれないように、同点かビハインドの時は最小失点に抑えればいい」という考えを持って投げられているのは強い。ここ3年間苦悩した結果、このようなピッチングスタイルに行き着いたのなら、今年はかなりやってくれる予感がする。チームが一気に若返ったことで、開幕ローテの日本人投手の中では最年長となった。対する日本ハムの先発は、一緒に海外で自主トレをともにしたこともあり、昨年までオリックスのエースだった金子弌大だ。東明にとっては完全復活をアピールする最高の舞台。このチャンスをしっかりと掴んでもらいたい。
取材・文 / どら増田
写真 / 垪和さえ