「否定とはいえ、『休養』なんて言葉が出るなんて、それこそ怪しい。水面下でそういう気配があったのではないか?」
と“穿った見方”も囁かれている。阪神関係者には甚だ失礼かもしれないが、否定であれ、この時期に監督人事に関する言動は禁物である。一時は最下位に低迷したチーム不振の原因は『打線の低迷』と『故障者の続出』だろう。
改めて、昨季のデータを見てみた。
2010年の阪神打線はチーム台率2割9分。前年の2割5分5厘からの“大躍進”であり、球団史上最高の数値だった。マートンの年間安打数214本、城島の加入で打線の厚みを増し、主力選手も自己最高をマークするなど、対戦投手を震え上がらせた。
今シーズンは「低反発の統一球」が導入された。5月30日時点でのチーム打率は2割4分3厘(リーグ3位)。真弓監督も『長打率』など、打撃陣の数値がある程度落ちることを想定していたはずだが、ここまで落ち込むとは思ってもみなかったはずだ。
しかし、チーム不振の本当の原因は『投手継投策の失敗』ではないだろうか。
クローザー・藤川球児への繋ぎ役として獲得した小林宏の不振も痛い。このままでは終わらない一流投手ではあるが、真弓監督は救援投手陣に自らの継投方法とその目的を説明しなおす必要もありそうだ。
真弓監督は“イニング跨ぎ”の継投策を多用している。
5月22日、対埼玉西武戦。小林宏が延長10回表のマウンドへ。無失点で切り抜けたが、11回表に炎上して敗戦−−。
同25日、対千葉ロッテ戦。2番手・久保田智之が6回表を三者凡退に抑えたが、7回表に2失点−−。
6月1日、対北海道日本ハム戦。3番手・小林宏がイニングをまたいだ8回裏に決勝打を許す。小林宏の救援失敗は5度目−−。
救援投手が2イニング目に掴まるケースが目立つ。真弓監督はこの“イニング跨ぎ”の継投策について、「1日2イニングでも、それほど疲れは残らない」と語り、長丁場となるペナントレース終盤戦に向け、救援投手を温存しておこうとしている。前任の岡田彰布監督時代は「救援投手1人が1イニングずつ」を抑えるやり方で、継投リレー布陣・JFKが確立された。真弓監督はこの岡田時代の継投リレーを「1人が不調だと、全てがダメになってしまう」と否定的な見解を示している。
「どちらの継投策が優れているか」ではない。真弓監督は救援投手が実際に投げさせてみてから、“イニング跨ぎ”をさせるか否かを決めているような節も多分も見受けられるのだ。実際に投げている救援投手にすれば、「もう1イニング」と言われても、モチベーションは上がらないだろう。それが2イニング目に炎上する原因だと思われる。
真弓監督はペナントレース終盤に見据え、登板過多にさせたくないこと、「救援投手1人が1イニングずつ」というタスキリレー式・継投策の弱点を、救援投手陣に改めて説明すべきである。
故障者の復帰は当初の予定よりも早くなりそうだ。救援投手陣が岡田監督時代のような強さを取り戻せば、打線も「1点リードすれば勝てる」と奮起するのではないだろうか。この時期の監督人事に関する発言はキナ臭いものばかりだ…。