「もう政治は卒業」と宣言し、大阪市長を降りたばかりの橋下氏が今度は都知事!? そんな無節操なことはあるはずがない−−。そう思う読者も多いはず。しかし、舛添氏の疑惑が週刊文春により報じられ、批判の声が一気に高まり始めた11日前後から、おおさか維新の周辺が俄かに動きが慌ただしくなったのは事実。
その裏事情を在阪記者がこう説明する。
「どうやら、馬場伸幸幹事長とその周辺が、舛添氏の辞任は必至と見て都知事選があると想定。橋下氏出馬への準備と説得に向け、急ピッチで動きだしている」
背景には、おおさか維新が抱える悩みが大きく反映している。
全国紙記者が解説する。
「昨年11月、橋下氏の辞任を受けての大阪市長選で、おおさか維新が推した吉村洋文氏が約60万票を獲得。自公の推す柳本顕氏を20万票近く離しブッチギリで当選した。しかし、いまだスター不在で、どうにも党勢が伸びないのです」
NHKの世論調査(5月9日)でも、自民党37%、民進党8.2%、公明党3.7%、共産党4.1%に対し、おおさか維新はわずか1.3%。
「おおさか維新は2月に夏の参院選に向け選挙区3人、比例区6人の候補を擁立し、さらに随時、公認候補を増やしていくつもりだった。ところが、その試金石ともなる4月末投開票の宮崎謙介氏の辞任に伴う京都3区補欠選挙で森夏枝氏を擁立したが、民進党の泉健太氏に4万票も差をつけられ敗北。これに松井一郎大阪府知事や馬場幹事長は、なんとか打開策の仕掛けをしないと維新は崩壊すると、慌てふためいた」(同)
その仕掛けの一つが、河村たかし名古屋市長との連携だ。
「松井知事は名古屋での支持基盤拡大のため、河村氏が率いる減税日本と、おおさか維新の合流を持ち掛けた。ところが河村氏から、名古屋は“名古屋”好きが多いので『おおさか維新』の党名では無理と、ソデにされたのです」(前出・在阪記者)