そんななか、セ・リーグではあり得ない珍事が発生してしまった。首位打者のエクトル・ルナ内野手(中日=34)が選出されなかったのだ。
セ・リーグでは、ファン投票において、広島ファンが組織票に走り、11枠中8人を広島勢で占拠。外国人選手では、広島のキャム・ミコライオ投手、キラ・カアイフエ内野手、ブラッド・エルドレッド外野手の他、ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手と4人が選ばれた。
さらに、支配下選手755人が選ぶ選手間投票で、トニ・ブランコ内野手(DeNA)、マット・マートン外野手(阪神)が選出され計6人。これで、球宴の選抜規定による外国人選手枠の関係で、監督推薦で外国人を選ぶことはできなくなってしまった。
ルナにとっては、ファン投票はともかく、選手間投票で選ばれなかったのが痛かった。同投票の三塁手部門で選ばれたのは村田修一内野手(巨人)で得票数は290。241票のルナとは、51票も差が付いた。
両者の成績(7月2日現在)は、ルナが打率.344、11本塁打、51打点。一方、村田は打率.281、10本塁打、36打点で、打撃3部門のすべてでルナが上回っており、選手間投票の結果には疑問符が付く。
昨季の前半戦、首位打者を独走していたルナは、選手間投票の三塁手部門で384票を得て、2位の村田(156票)に大差を付けて選出されたが、1年経って選手間での評価が急落してしまったのはなぜなのか?
思えば、昨年7月、ルナは左ヒザを痛めており、「治療に専念したい」として球宴を辞退した。ケガの程度は軽傷で、高木守道監督(当時)の出場司令を振り切ってのものだった。この際、ルナには“サボタージュ疑惑”も飛び交い、チーム内での信頼も失墜した。
1年前の疑惑の出場辞退事件が尾を引いてしまったのか、「球宴をサボったルナは選ばない」とばかりに、各球団の選手たちが、あえて投票しなかったのか…。案外、チームメイトである中日の選手も、ルナではなく、他の三塁手に投票したのかも?
なお、原辰徳監督(巨人)はルナの代わりとばかりに、わずか44試合の出場にとどまって、0本塁打9打点、打率.167と不振の谷繁元信捕手兼任監督を監督推薦で選出し、帳尻を合わせたようだ。
(落合一郎)