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大航海時代、華やかな冒険の惨憺たる実情

 15世紀から17世紀、ロマン掻き立てられる大航海時代。東西間の交易が活発化していたヨーロッパでは、造船技術の発展や羅針盤が伝わったことに加え、イスラム勢力の後退に伴い、外洋航海へと進出していった。新航路の発見や未発見地域への到達、それにより得られた富と名誉。しかしそれは筆跡に尽くしがたい苦難と犠牲の上にもたらされていた。

 探検家たちに好まれた小型の帆船には、3か月分の食料と水が積み込まれた。しかし野菜や果物は数日しか保存できない。やがて保存の利く塩漬けされた肉や魚にも蛆が湧き、どろどろに融け始めた。水は変色し最終的には、虫のたかるビスケットをネズミと奪い合うように口に運ぶしかなかった。水浸しの船底ではゴキブリやネズミが群れを成し、乗組員たちは疫病を含め様々な病に悩まされた。

 そんな中でも長期間のビタミン不足からくる壊血病は深刻だった。腐った血が流れ出している腐った死肉をナイフで削って溜まっている血を絞り出すと、尿で口をゆすぐ。それでも食物を噛むことができず飲み込むしかない。物陰や戸棚の裏ではいつの間にか乗組員たちが力尽きている。発見されるまでの間に身体の方々をネズミに食いちぎられ、目玉は無くなっていた。

 バスコ・ダ・ガマがインド航路を発見した航海では、180人の乗組員が次々と命を落とし、船を一隻破棄する等苦難の末帰還できたのはわずか44人だった。(七海かりん 山口敏太郎事務所)

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