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“最高級銘柄”目指すアサヒビール『なだ万』買収の裏事情

 アサヒビールが、国内に27店、海外では北京や香港、シンガポールなどに7店舗を運営する江戸時代創業の老舗料亭『なだ万』(東京・新宿区)を子会社化する。創業家の楠本正幸社長は続投し、アサヒビールは会長や幹部を送り込む。
 関係者が注目するのは、買収の狙い。対外的には「老舗の経営ノウハウを取得し、外食産業に対する営業提案力を強化すること」や、「なだ万のブランド力を生かし、国内外に広めていくこと」などと発表しているが、要は国内ビール市場が縮小傾向にある上、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたのを追い風になだ万の海外出店を加速させ、ビールの海外展開を加速させようとのシナリオだ。

 しかし、アサヒビールにとってなだ万は以前からの大得意先。当然ながら国内店舗で提供するビールはアサヒが断トツで「キリン、サントリー、サッポロのライバル3社が束になってもアサヒ1社にかなわない」(情報筋)という。ならば、アサヒは何が狙いなのか。
 「このところビール各社は外食・居酒屋チェーンを舞台に仁義なき縄張り争いを展開し、中でもアサヒはコロワイド、チムニーなどへの出資比率を高めることでライバルの牙城を切り崩し、まんまと蹴落とした。なだ万の子会社化は、それに比べるともっと野心的です」
 と外食チェーンの役員OBは解説する。

 和食文化への関心が世界的に高まる中、鍵を握るのは海外店舗。その利用者は接待の恩恵にあずかる現地の要人などエリートが大半だ。役員OBが続ける。
 「なだ万“御用達”でアサヒビールの海外でのブランド力はアップする。これが現地の高級料理店に波及し、結果、アサヒは“最高級銘柄”に浮上、現地での販売に弾みがつく。その余勢を駆って『なだ万』を次々に出店させれば、世界のトップブランドも夢じゃない」

 海外でアサヒビールを“なだ万ビール”に改める日も近い!?

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