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防災対策に金をかけろ 不毛な地震予知に血税をドブに捨てる“課税夫”のノダ(1)

 「マグニチュード7級の首都直下型地震が4年以内に70%の確率で起きる」−−。
 東京大学地震研究所によるこの予測に、日本中が青ざめた。
 その後、まるで「ドッキリカメラでした」とでも言うように「確率的には30年以内に98%と言っているのと同じ」「昨年9月に行った試算だから、今ならばもっと低くなる」など、関係者が“火消し”に躍起になっていたのが、かえって不気味である。
 大金を費やす“この程度の地震予知”で、果たして何人の命を救えるのだろうか−−。

 未曾有の大震災から間もなく1年。あらためて、防災に対する日頃からの備えの大切さを知る機会にもなった。同様に地震予知についても、関係者はより確度の高い調査結果を求めるようになっているという。
 この地震予知という研究の中で、近い将来という意味でたとえられる「30年以内」という言葉。しかし過去30年において、10人以上の死者が出た地震は、予知では確率が低いとされていた地域ばかりだ。
 いまだに「お粗末な地震観測態勢が招いた人災だ」という声もある中、野田内閣による平成24年度の地震調査研究関係政府予算案は、対前年度比262%にのぼる355億8500万円を計上した。この中には、地震調査に関連する独立行政法人の運営費交付金は含まれていないので、実際はもっと多い。
 庶民の感覚からすれば、多方面に多額の血税が使われている割に、結局は口をそろえて「地震は必ず起きます」と、同じことを言っているようにしか聞こえないのだが…。

 組まれた予算を見てみると、前年よりも単純に増えたところ=観測態勢がズサンだった部分と言い換えることができるだろう。たとえば、今回発生したマグニチュード(M)9.0という地震の規模。日本の地震観測史上最も巨大なものであったわけだが、この数値は日本が独自に観測したものではなく、実はフィンランド、モンゴル、ロシアなど11カ国で観測されたデータによるものだ。
 「日本の地震計が観測できるのはM8.0が上限です。これを超えると、どれだけマグニチュードが大きくても地震計が振り切れてしまいます」と気象庁の担当者は説明する。

 地震発生当初、マグニチュードは7.9→8.4→8.8と訂正され続けた。この迷走は観測機器の機能不全が原因というのだが、それでなくても今の日本は、一日平均約20回もの地震が観測される地震大国だ。
 だからこそ日本各地、地域毎の地震の特徴を詳しく把握するために、微弱な揺れも感知し、さらに24時間稼働の高感度地震計観測網を、約20km間隔でおよそ800カ所設置するなど、キメ細かな観測態勢をとっていたはずなのである。
 発生した地震の規模を的確に把握できず、海外のデータに依存したのみならず、気象庁は、3・11の前々日に発生したM7.3の大規模地震さえも“予兆”とはせずにやり過ごした。この理由については、「前兆を観測し、地震発生前に情報を発表する態勢を取っているのは駿河湾周辺から静岡県内陸域を震源地とする東海地震だけなのです」(同)と説明する。東海地震以外での前兆観測は、空白地帯だったというのである。

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