『社長チップス』は、株式会社ESSPRIDEが企業PRツールとして全国約200社以上の社長をプロデュースしているものだが、この日配られるうちの100袋に福良淳一監督カードが封入される。
今回の社長カードに関して、福良監督は「お客様のため、会社のため、日々奮闘している社長さん方に負けないよう、私もチームの代表として、最後まで全力で戦い抜きたいと思います」と極めてサラリーマン的なコメント。
福良監督が監督に就任以降、チームがなかなか勝てていないこともあり、近年では、ファンによる監督への采配批判や辞任論も増えてきている。しかし、そんな声とは比例して、現場からは「福良監督で優勝したい」という声が年々増しており、それはスタッフ、関係者のみならず、我々マスコミも同じ思い。何故なのか?それは監督の人柄にあると言っていいだろう。
試合後の囲み会見の文字を起こすと「○○やないですか」「バッテリーが考えないと」「あと1本というところですかね」などなど、とても他人事に見えてしまうため、ファンから怒りを買うことが多いのだが、“そこは”(監督の口癖)持っている能力を発揮できないチームや選手への歯がゆさと、自分自身に対してのメッセージが込められていると思う。勝っても負けても「また明日取りにいきます」というコメントを残すのも慣例化しているが、これは「毎試合勝ちに行く」という監督の気持ちの表れだと、監督に近い関係者が話してくれたことがあった。
田口壮2軍監督はファームで行われたトークショーで、「皆さん福良さんに対して思うところがあるかもしれませんが、皆さんが思われていることを福良さんにぶつけたら全部論破されますよ」と福良監督の凄さを話したそうだが、私も昨年の秋季キャンプで「きょうは誰もいないし、何でも答えるから聞いて!」と言っていただき、ずっと胸に抱いていた数々の疑問を質問させていただく機会があった。その疑問については、既に過去の記事の中で書いているので割愛するが、当然のことながら、そのすべてに納得できる答えが用意されていて、内容もわかりやすかった。特にこの日、紅白戦で1イニングを完璧なピッチングをした“オリの神童”山本由伸を「後ろで使ってみたいと思いませんでしたか?」と質問すると、笑顔で「使ってみたいですねぇ。ああいうピッチング見せられるとね」と話していたのが印象的。秋季キャンプで今シーズン飛躍するキッカケを掴んだ選手は由伸だけではなく、西野真弘の再生が始まったのも高知からである。私は指揮官のこのような側面も伝えていく使命があるなと改めて実感した次第だ。
球団には秋季キャンプや春季キャンプで福良監督の公開トークショーを企画してもらいたい。ファンの指揮官に対する印象はかなり変わるはずだ。それを実現させるためにも今シリーズこそ結果を残さなければならない。10日は福良監督カードを引き当てたファン全員が喜んで家に持って帰れるような勝利をプレゼントしてもらいたい。
取材・文 / どら増田