ある日、彼の家に泊まった時のこと。次の日、私は仕事が休みだったので、彼は「鍵はポストに入れておいてくれればいいから」と、先に仕事で出かけて行きました。なので私は、少しゆっくりしてから家を出ようと思い、昨日、お店で買った音楽CDを取り出しました。
彼の家には大きなCDコンポがあるので、早速聞いてみようと開閉スイッチを押したところ、中には謎のCD-Rが入っていたのです。表面には日付だけがマジックで書かれており、他の情報は一切なし。なんとなく気になった私は、再びスイッチを押して、そのCDを再生してみました。
すると聞こえてきたのは、過去、私が彼のベッドの上で過ごした時の生々しい音声だったのです。どうやら彼は、知らない間に、私が泊まった時の部屋の音を録音していたようで、そのデータをCDに焼いていたみたいです。マジックで書かれた日付は私が彼の家に泊まった日付でした。
後日、そのことを彼に話すと、目に涙を溜めながら必死に何度も謝ってきました。そして「もう2度としない」と約束してくれたので、他に彼に対して不満がない私は許してしまいました。でもそれからというもの、彼の部屋で過ごす際は、また盗聴されているのではと不安になっている自分がいます。それに音源を、彼だけでなく、共通の友人やネットに流されていたらと思うと怖くなりますね。やはり1度裏切られると、もう以前のような状態には戻れないのかもしれません。
取材/構成・篠田エレナ
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