『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京)や映画『銀魂』、『今日から俺は!!』(日本テレビ)などコメディ作品を得意とする福田雄一氏が率いる“福田組”の常連としてブレイクしたムロ。2018年には42歳ながらエランドール賞新人賞を受賞し、年末にかけて放送された『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系)では、若年性アルツハイマー病を患った戸田恵梨香の相手役を演じた。それまでのイメージにはなかった恋愛ドラマで見事に視聴者をときめかせて女性人気も急騰。大いに株も上がりトレンディ俳優にシフトしたと思われるタイミングで、この『Iターン』である。
家族や下請けには横柄だが、インテリヤクザ風の竜崎(田中)にすごまれると完全に固まってしまうムロの顔芸とオーバーアクションが見どころ。渡辺大知演じる柳の服装にツッコミを入れるアドリブも健在だ。岩切(古田)から無理やりブランデーをのどに流し込まれるシーンでは、必死さを通り越してドMと疑ってしまうほどの高度なリアクション芸を披露している。
ムロのコミカルな魅力が全開になった『Iターン』だが、恋愛ドラマ路線を期待するファンにはモヤモヤ感が残っているようだ。SNS上でも「やっぱりムロツヨシはコメディだ」、「またムロの恋愛ものを見たい」など意見は二分。逆さ吊りから必死の形相で村下孝蔵の「初恋」を歌う場面は、そんなコメディと恋愛ドラマの板ばさみになったムロの現状を暗示しているようでもある。
はたして、ムロは『大恋愛』で獲得したファンをつなぎ止められるのか?それともコメディ路線へと“Uターン”するのか?分岐点に立つ『Iターン』に注目だ。