「ノムさんも、もう続投をあきらめたようだ。相手が東尾では勝てないと観念したんだろう。『残り試合は好きなようにやらせてもらうよ』と捨てぜりふを口にしているし、東尾の悪口を言いたい放題だ。『野球を知っているのか』『酒を飲むことと、麻雀や賭け事ばかりやっとるヤツや』とね。でも、東尾監督に決まったら自業自得でしょう」。楽天関係者はこう決めつけている。
それはなぜか。
「東尾監督を推しているのが、西武時代の仲間の楠城徹編成副部長だが、『楽天は編成が悪いから、ロクな選手が取れん』と、ノムさんは散々イビリ倒し、追い出そうとした。だが、楠城は編成担当から降格になっても生き残った。今回の東尾監督招へい案は、ノムさんに対する楠城の逆襲なんだよ」というのは球界関係者。さらに「東尾監督が誕生すれば、楠城編成副部長とのコンビで東尾体制下にいた西武選手が入って来るのではないか」とまで予想する。その一番手がアストロズの松井稼だ。メッツから始まり、メジャー球団を渡り歩いているが、ケガが多く、1シーズンまともにプレーしたことがない。
それだけに、同じようにホワイトソックスを手始めにメジャー3球団を経験した末に、今季千葉ロッテマリーンズ入りで日本球界復帰を果たし、4番として活躍している井口資仁と同じルートをたどるのではないかといわれている。
過去には原辰徳監督とのホットラインから巨人入りのウワサもあった松井稼だが、今回のWBCで日本代表入りから外されたことで、松井稼サイドは激怒しており、巨人入りは事実上、消滅している。
しかし、1997、98年と2年連続リーグ優勝した西武・東尾監督は、チームリーダーだった松井稼のすべてを熟知しており、高く評価している。楽天・東尾監督が決まれば、さっそく松井稼獲りに動くだろう。
投手陣には岩隈久志、田中将大という他球団がうらやむ二枚看板がいる楽天だが、野手陣の層は薄い。チームリーダーだった山崎武司にも40歳という年齢的な衰えが隠せない。松井稼はポスト山崎に格好の選手といえる。
東尾氏を良く知る西武OBは「松井稼はもちろんだが、松坂の楽天入りだってあり得る」という衝撃予告をする。その根拠は、東尾氏と松坂の固い絆(きずな)だ。
松坂は西武入団時の監督だった東尾には心酔している。うるさいことを言わず、ノビノビと自由放任にやらせてくれた東尾監督がいたからこそ、今の自分があると感謝している。
また、WBCでフル回転したことによってケガで大きく出遅れ、再起のためにフロリダでミニキャンプを張り、最近になってメジャー合流の時期も検討され始めたとはいえ、思うに任せない現状にイライラしている。高額年俸もあり、地元メディアの松坂バッシングも強まっている。松坂がレッドソックスを退団して日本球界復帰を決断、その時に楽天・東尾監督が実現していたら、一気に最終決断を下すことは充分にあり得る。
楽天・東尾監督が誕生すれば、西武時代の東尾ファミリーが集合するのは間違いない。