秋華賞→菊花賞→天皇賞・秋と、3週連続でアドマイヤの冠とともにGIロードを歩む武豊騎手。キッスは不本意な結果(秋華賞4着)に終わってしまったが、“メーンイベント”はあくまで今回。ダービー2着馬のアドマイヤメインがリベンジに燃えている。
秋初戦の神戸新聞杯は、2番人気に推されたものの7着敗退。数字だけ見れば秋の活躍に黄信号が灯ったが、「まず初めのコーナーでゴチャついてしまったやろ。それに、4角でもあの不利ですわ。完調手前やったし、力を出し切れてないんやから、悲観せんでもええと思います」とは橋田師。その4角の不利とは、内外から他馬に挟まれ、立ち上がりそうになるほどの“痛恨の一撃”だった。むしろ、それで最後まで集中力を切らさず0秒3差に健闘したことを評価すべきだろう。巻き返しに燃える今回、主戦の武豊騎手が「もともと使って良くなるタイプ」と言うように、状態面は右肩上がりに上昇している。
1週前追い切りは坂路800m53秒3→39秒8→13秒8。全体的な時計こそ目立たなかったものの、「こんなもんでいいでしょう。来週もありますし、いい感じにきています。前走はケイコの絶対量が足りなかったけど、使った分、やっぱり良くなってますわ」と同師も順風満帆な調整過程に納得の笑みを浮かべた。続けて、過酷な京都3000mの克服術についてたずねてみると、「前走は逃げなかったが、武君は長丁場を意識した戦法を探っていたんやろう。今回?それはやってみんと分からんが、どちらにしろパッタリいったわけではなかったし、距離はもつと思う」とキッパリ。
名伯楽と天才騎手にとって、あくまでトライアルはトライアル。本番でこそキッチリ結果を出すのが、“GIコレクター”と呼ばれるゆえんだ。「力があるのはこれまでで証明済みだし、中京の2000m(神戸新聞杯)よりは京都3000mの方が競馬はしやすいよ。ライバルは強いけど、頑張ってもらいたい」(武豊騎手)脚質的にいえば一見、小回り向きにも思えるが、振り返れば未勝利脱出はこの京都。青葉賞勝ち→ダービー2着(ともに東京)の戦績を見ても広いコースでこそ持ち味を発揮するタイプであることはいうまでもない。絶好の舞台でアドマイヤメインが、メイショウサムソンの「ストップ・ザ・3冠」に名乗りをあげた。